百科事典マイペディア 「ゴーティエ」の意味・わかりやすい解説
ゴーティエ
→関連項目紀行文学|ジゼル|ベルリオーズ|ペロー|ボレル|ロマンティック・バレエ
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フランスの詩人,小説家。初め画家を志したが,やがて詩人に転向。高校の同窓生ネルバルを通じてユゴーと親交を結んだ。ユゴーの劇作《エルナニ》の上演(1830)に際して巻き起こった〈エルナニ合戦〉には,赤いチョッキを着て出陣,上演を妨害しようとした擬古典派と渡り合った。1830年の七月革命以後は,ジャーナリストとして文芸批評や美術批評に手を染めるかたわら,詩や小説を発表した。初期の詩作《アルベルチュス》(1832)で過激なロマン派詩人の熱狂を示したが,小説《青年フランス派》(1833)でそうしたロマン派の青年像を戯画的に描くうちに,やがて熱狂もさめていった。さらに小説《モーパン嬢》(1835)の序文では,〈芸術至上主義〉を唱えて芸術の自律性を主張,文学の社会的効用を説くユゴーと決別した。詩人としての想像力・感受性・思想に欠けてはいたが,絵画的な形式美を表現する才能に恵まれていた。彼の詩集の最高傑作《螺鈿七宝(らでんしつぽう)集》(1848完成,52刊)では,造形的で非個人的な芸術が追求されている。小説に《ミイラ物語》(1858),《カピテーヌ・フラカス》(1863),文芸批評に《奇人伝》(1844),また回想録として《ロマン主義の歴史》(1872。単行本1874)がある。ゴーティエの唱えた〈芸術至上主義〉は,60年代に盛んになる高踏派の運動を生み出す基盤になった。
執筆者:辻 昶
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1811~72
フランスの詩人,小説家。ロマン派から出て高踏派に近づき,文学の社会性,道徳性,功利性を嫌い,芸術のための芸術を主張。詩集は『七宝螺鈿集』(しっぽうらでんしゅう),小説は伝奇的・幻想的な『ミイラ物語』などがある。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…一般に,唯心論,観念論に対して世界の根本的原理ないし実在を物質とみなす立場をいう。原語は,〈木材〉〈素材〉〈質料〉〈物質〉の意味のラテン語materiaにさかのぼるが,materia自身,〈母〉を意味するギリシア語mētēr,ラテン語materに由来し,かつギリシア語で〈形相〉〈形式〉に対して〈質料〉〈素材〉の意味をもつhylēのラテン語訳として用いられた。原語は17世紀の成立で,materialistという言葉はH.モアやR.ボイルさらにライプニッツによって使用された。…
…民族舞踊を織り込んで異国情緒を表現した作品群で,《ラ・ジプシー》(1839),《ラ・エスメラルダ》(1844)などの代表作があり,エルスラーがその代表的舞姫である。 ロマンティック・バレエは最初パリを中心に隆盛するが,これには詩人T.ゴーティエの力によるところが大きい。ゴーティエはあらゆる機会をとらえてバレエ,特に舞姫の美しさを称揚し,みずから《ジゼル》の台本を書き下ろすなど,バレエのロマン主義的傾向を強めた。…
※「ゴーティエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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