改訂新版 世界大百科事典 「スギナモ」の意味・わかりやすい解説
スギナモ
Hippuris vulgaris L.
スギナモ科の多年生水生植物。英名はmare's-tail,mousetail,cattail。茎は直立し,高さ10~60cm,上部は通常水面より伸び出し,分枝しない。葉は茎の上部に群がりついているように見えるが,4~12枚が輪生し,線形で,長さ1~2cm,少し湾曲することが多い。夏に咲く花は小さく,多くは両性だが単性花を生じることもある。水上葉の葉腋(ようえき)につき,花被を欠き,子房は下位,おしべは1本。核果は楕円形。池沼の浅い水域や河岸水辺部に生育し,北半球の寒冷地域に広く分布する。日本では北海道から本州の高地(尾瀬ヶ原が南限)にみられる。チベットでは民間薬として解熱に利用するという。また,エスキモーは若芽を野菜として利用していた。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報