スギナモ(英語表記)Hippuris vulgaris L.

改訂新版 世界大百科事典 「スギナモ」の意味・わかりやすい解説

スギナモ
Hippuris vulgaris L.

スギナモ科の多年生水生植物。英名mare's-tail,mousetail,cattail。茎は直立し,高さ10~60cm,上部は通常水面より伸び出し,分枝しない。葉は茎の上部に群がりついているように見えるが,4~12枚が輪生し,線形で,長さ1~2cm,少し湾曲することが多い。夏に咲く花は小さく,多くは両性だが単性花を生じることもある。水上葉の葉腋ようえき)につき,花被を欠き,子房下位おしべは1本。核果は楕円形。池沼の浅い水域や河岸水辺部に生育し,北半球の寒冷地域に広く分布する。日本では北海道から本州高地(尾瀬ヶ原が南限)にみられる。チベットでは民間薬として解熱に利用するという。また,エスキモー若芽を野菜として利用していた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スギナモ」の意味・わかりやすい解説

スギナモ
すぎなも / 杉菜藻
[学] Hippuris vulgaris L.

スギナモ科(APG分類:オオバコ科)の多年生水草地下茎は泥土中をはい、節からひげ根を出す。茎は水中に浮遊し、長さ20~50センチメートル。葉は6~12枚が輪生してスギナ状をなし、線形で先端は鈍くとがる。水中葉は長く2~6センチメートル、水上葉はやや短く1~1.5センチメートル。7~8月、水上葉の腋(えき)に無柄の花を単生する。萼筒(がくとう)は長さ1ミリメートルで全縁、子房に合着する。果実は狭長楕円(だえん)形で平滑。湖沼に生育し、尾瀬沼以北の本州、北海道、および北半球の亜寒帯に広く分布する。

[小林純子 2021年8月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スギナモ」の意味・わかりやすい解説

スギナモ(杉菜藻)
スギナモ
Hippuris vulgaris; mare's tail

スギナモ科の多年草で,北半球の冷温帯と亜寒帯に広い分布をもつ。日本では本州中部以北の池や川に生える。水底の泥中にある細長い根茎から直立する茎を伸ばし水面上に立上がる。葉は6~12枚が輪生し,水中のものは長さ2~6cmの線形であるが,水上のものは小さく長さ1~1.5cm止りである。花は7~8月頃,水上葉の葉腋に単生する。花弁はなく,萼は緑色でほぼ球形,おしべ,めしべ各1本があり,針形の花柱が目立つ。和名はスギナのような感じの水草であることによる。

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