スウェーデンの代表的料理。スウェーデン人の食生活は一般に簡素なものだが、スウェーデン料理の代表格として知られるスモーガスボードは、いわばこの国の海の幸、山の幸の集大成ともいえる豪華なもので、日本でも盛んなバイキング料理の原型である。
ニシンの酢漬け、サケのマリネ、ハム、レバーペースト、ローストビーフ、サラダ類といった冷菜から、ハンバーグ、グラタンなどの温かい料理、そして何種類ものパンやチーズ、甘いものまで、50種以上に及ぶ料理を並べたテーブルから、それぞれ好みのものをとって食べる、いわゆるセルフサービスの形式で楽しむ御馳走(ごちそう)である。飲み物は普通、アクアビットとよばれるジャガイモの蒸留酒で、アルコール度40~45%の強いものだが、さわやかな口あたりが食欲をそそる。スモーガスとは、バターを塗ったパンの意で、デンマークの有名なオープン・サンド、スミョルブロイと同義である。スウェーデンでも一般家庭ではパンにありあわせの料理をのせたスモーガスはよく食べられるが、スモーガスボードはかならずしもパンの上にはのせない。ちなみにボードは食卓を意味する。冬ごもりの食料を持ち寄って食べたのが始まりとする説、バイキングたちが好んで食べたとする説などあるが、定説はない。ただいえることは、本来はもっと簡素な、あるいは粗野なものであっただろうということである。
[角田 俊]
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