セラフィモービチ(読み)せらふぃもーびち(英語表記)Александр Серафимович Серафимович/Aleksandr Serafimovich Serafimovich

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セラフィモービチ」の意味・わかりやすい解説

セラフィモービチ
せらふぃもーびち
Александр Серафимович Серафимович/Aleksandr Serafimovich Serafimovich
(1863―1949)

ロシアの小説家。本姓ポポーフ。コサックの家に生まれる。ペテルブルグ大学在学中アレクサンドル3世の暗殺未遂に関する檄文(げきぶん)を書き、北のアルハンゲリスク県へ3年の流刑に処せられた。文学活動を始めたのは、極北の地で執筆した短編『氷原にて』(1889)によってである。『車両連結手』(1903)、トルストイに激賞された『砂地』(1909)などの短編で、労働者・農民の絶望的な状況の否定から革命の覚醒(かくせい)に至る道程を示し、長編『ステップの町』(1912発表)では資本主義の発展とプロレタリアの成長を描いた。この間ゴーリキーを知り、「水曜会」からズナーニエ派に加わり、新写実主義の有力な旗手であった。代表作の『鉄の流れ』(1924)は、無自覚な群衆が国内戦のたび重なる戦闘を経て、鉄の流れのような力強い集団に変貌(へんぼう)する長編小説で、プロレタリア文学の古典となった。

島田 陽]

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