セルゲル(英語表記)Johan Tobias Sergel

改訂新版 世界大百科事典 「セルゲル」の意味・わかりやすい解説

セルゲル
Johan Tobias Sergel
生没年:1740-1814

スウェーデン彫刻家生地ストックホルムでフランス人の彫刻家ラルシュベークPierre Hubert Larchevêque(1721-78)に師事し,1758年パリに赴く。67-78年ローマに在住し,古代およびルネサンスの作品に学ぶとともに,J.H.フュッスリ,N.A.アビルゴールらと親交を結ぶ。帰国後,79年よりスウェーデン王室彫刻家としてグスタフ3世庇護を受け活躍,王室芸術家の中心的存在となる。古典的で無駄のない形態のうちにバロック的躍動感と雄渾さを潜める作風は,次世代の優雅で華奢(きやしや)な新古典主義とは一線を画す。理想化の裏返しとしてのカリカチュア的デッサンにも優れる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セルゲル」の意味・わかりやすい解説

セルゲル
Sergel, Johan Tobias

[生]1740.8.28. /1740.9.8. ストックホルム
[没]1814.2.26. ストックホルム
スウェーデンの彫刻家。ストックホルムとパリで学び,1767~78年ローマで制作,『ファウヌス』 (1769~70) で注目を浴びた。 78年ストックホルムに帰り,宮廷彫刻家,アカデミー教授となり,『グスタフ3世』 (90~1808) をはじめとする多数の彫刻,素描風刺画を制作。作風はロココの優雅さを出発点とし,のちに古典彫刻の研究によって B.トルバルセンらの新古典主義の先駆的役割を果した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セルゲル」の意味・わかりやすい解説

セルゲル
せるげる
Johan Tobias Sergel
(1740―1814)

スウェーデンの彫刻家。ストックホルムに生まれる。生地とパリで修業したのち、1767~78年ローマに滞在。帰国後、グスタフ3世の宮廷彫刻家となり、アカデミー教授を務め、以後故郷で制作した。初めロココの影響を受けたが、ローマで古典主義に転向し、大理石像『アモールとプシュケ』(1787ころ)、銅像『グスタフ3世像』(1799)など、明るく典雅な作品を残した。ユーモラスで風刺的なデッサンにも注目すべきものがある。

[野村太郎]

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