せんそ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

せんそ
せんそ / 蟾酥

唐代から強心、鎮痛、解毒薬として用いられてきた漢薬。ヒキガエル科のアジアヒキガエルBufo bufo gargarizansおよびヘリグロヒキガエルB. melanosticusの耳腺(じせん)から分泌される乳液を集めて乾燥したもの。商品形態から、「餅手(もちで)」「銭手(ぜにで)」「薄片(盤状)」の3種に分類される。餅手は径8センチメートル、厚さ1.5センチメートルほどの平たい円盤状で、おもに中国の河北省、山東省、四川(しせん)省などで生産され、品質がよい。銭手は径2~3センチメートルの碁石状、薄片は径3~10センチメートルの薄い盤状で、いずれも江蘇(こうそ)省などで生産される。

 せんそには、強心、局所知覚麻痺(まひ)、胆汁分泌促進、軽度の利尿、膵液(すいえき)分泌促進、胃液分泌抑制、抗炎症、毛細血管透過阻止などの作用があることが薬理学的に証明されている。これらの作用の多くはブファリンと称されるステロイド成分で、そのほかガマブフォタリン、カルデノライドなどが主たる作用物質である。わが国では六神丸(ろくしんがん)をはじめとする配置家庭薬の製造原料として重要である。また鎮痛、止血薬として外用される。いわゆる真正の「ガマの油」は本品である。

[難波恒雄・御影雅幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例