タラゴナ(読み)たらごな(その他表記)Tarragona

デジタル大辞泉 「タラゴナ」の意味・読み・例文・類語

タラゴナ(Tarragona)

スペイン北東部、地中海に面した都市ローマ帝国時代にはタラコの名で、首都ローマに次ぐ大都市として栄えた。当時の遺跡として、城壁円形劇場水道橋などが残る。2000年、「タラゴーナ遺跡群」として世界遺産文化遺産)に登録された。タラゴーナ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タラゴナ」の意味・わかりやすい解説

タラゴナ
たらごな
Tarragona

スペイン北東部、カタルーニャ地方タラゴナ県の県都。人口11万3129(2001)。地中海に面し、標高70メートルの石灰岩の丘陵斜面とその麓(ふもと)に位置する。ローマ時代からタラコTarracoの名で知られ、アウグストゥス帝時代の紀元前27年にはローマの属州ヒスパニア・タラコネンシスHispania Tarraconensisの首都となり、ハドリアヌス帝時代にはローマ世界随一の港町として繁栄した。早くからキリスト教がもたらされたが、8世紀にはイスラム教徒の侵入を受けた。町の歴史を反映してローマ時代の遺跡に富み、城壁、バラーの凱旋(がいせん)門、水道橋などが残る。また考古学博物館は有名。大司教座所在地で、12~13世紀の大聖堂がある。農産物取引、ぶどう酒製造、織物・化学工業、観光業などの経済活動があるほか、港からぶどう酒、たばこ、果物などが輸出される。

[田辺 裕・滝沢由美子]

世界遺産の登録

数多く残るローマ時代の遺跡が2000年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「タラゴナの遺跡群」として世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「タラゴナ」の意味・わかりやすい解説

タラゴナ
Tarragona

スペイン北東部,カタルニャ地方の同名県の県都。人口11万5756(2001)。地中海に臨む丘の上にあり,自然の良港を擁するため,タラコTarracoと呼ばれたローマ時代には属州ヒスパニア・タラコネンシスの主都であり,交易および軍事上の要地として,イベリア半島内で最も栄えた都市の一つであった。水道橋をはじめ,スキピオの塔(墳墓碑),近郊のバラーにある凱旋門など,当時の遺跡が数多く残されている。5世紀には西ゴート族,8世紀にはアラブの侵入により市街大部分が破壊され,その結果,半島北東部の中心地はバルセロナへ移された。13世紀にはマリョルカ島征服に参加して交易港として復活した。19世紀には織物業,現在では化学工業も導入され,バルセロナとともに北東部工業地帯の一角を成している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タラゴナ」の意味・わかりやすい解説

タラゴナ
Tarragona

スペイン北東部のカタルニャ自治州,タラゴナ県の県都。地中海に臨む港湾都市で,バルセロナ西南西約 90km,フランコリ川河口に位置する。ローマ属州時代から亜麻布,ワインなどの交易港として繁栄。 714年イスラム教徒に破壊されて衰退したが,12世紀からアラゴン王国のもとで再興。ブドウ,ナッツ類,オリーブ,コムギなどを集散する。城壁,劇場,墓地,水道などローマ時代の遺跡が多く,2000年世界遺産の文化遺産に登録。バルセロナ,バレンシア,サラゴサと鉄道,道路で結ばれる交通の要地で,観光業の中心地でもある。人口 11万3 (1991推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android