翻訳|duiker
ウサギからシカ大の小型のアンテロープ。偶蹄目ウシ科ダイカー亜科Cephalophinaeに属する哺乳類の総称。一見シカの子のように見えるが,背中が丸く湾曲し,四肢は細いが比較的短く,胴は太い。雌雄とも耳よりも短い後方にのびる小さな角をもつ。体色は種によってさまざまで,淡褐色から茶色,黒色に近いものまである。一部の種は背中に縞模様をもつ。コシキダイカーCephalophus sylvicultor,ハイイロダイカー(サバンナダイカー)Silvicapra grimmiaなど17種が北アフリカを除くアフリカに分布している。体長55~145cm,尾長7~17.5cm,体重5~65kg。森林あるいは灌木の茂みが点在する草原にすみ,個体数は少なくないが,夜行性であることと,用心深く,茂みにすばやく逃げ込むことから目だたない。ふつう単独あるいは雌雄のつがいで行動し,同性の他個体に対してはきわめて攻撃的。草木の葉,果実を常食とし,ときに昆虫,小鳥などの小動物も食べる。妊娠期間は126~245日と種によって異なるが,産子数は1産1子。子は生後14日で葉を食べ始め,9ヵ月で成熟する。飼育下での寿命は19年。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科ダイカー属に含まれる動物の総称。この属Cephalophusのアンテロープは、サハラ砂漠以南のアフリカに広く分布し、多くは森林や深い茂みに生息する。体は小形であるが、体高30~85センチメートル、体重8~63キログラムと変化に富む。角(つの)は雌雄にあり、長さ3~9センチメートルでスパイク状。体色は黄土色、赤褐色から黒色までさまざまである。普通、単独かつがいで生活し、繁殖期以外でも縄張りをつくっているといわれる。草やつる草、低木の葉や小枝、果実をおもに食べ、ほかに昆虫や鳥などの動物質もとると思われる。性質は臆病(おくびょう)で警戒心が強く、おもに夜行性である。妊娠期間は120日ほどで、1産1子。子は1日たつと走れるようになる。寿命は9年前後。シマダイカーC. zebra、コシキダイカーC. sylvicultorなど14種ほどがあるが、ケープダイカーだけは別属とされ学名はSylvicapra grimmiaとされることが多く、生息地も深い森林でなくやぶ地である。そのためCephalophusをモリダイカー属、Sylvicapraをヤブダイカー属とすることもある。
[今泉忠明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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