ダウンバースト(読み)だうんばーすと(英語表記)downburst

翻訳|downburst

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダウンバースト」の意味・わかりやすい解説

ダウンバースト
だうんばーすと
downburst

積雲または積乱雲から生じる強い下降(down)流が地面に到達後地表面付近で周囲に吹き出し(burst)、突風を生じさせる現象地上構造物などに被害を与えたり、離着陸時の航空機事故の原因ともなる。地上の吹き出し風速は秒速70メートルほどに達することもある。寿命は10分以下のことが多く、吹き出しの水平スケールは数キロメートル以下である。最近の例では1996年7月15日、茨城県下館市(現筑西(ちくせい)市)周辺で死傷者20名、建物倒壊425棟の被害があった。アメリカではダウンバーストによる民間航空機事故が多く、これまで数百名の死傷者がでているが、日本ではいまのところ地上での被害のみである。

[岸保勘三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダウンバースト」の意味・わかりやすい解説

ダウンバースト
downburst

発達した積乱雲下部から下向きに爆発的に吹き降ろす気流と,この気流が地面に衝突して水平に噴き出す破壊的気流。下降噴流ともいう。その先端部はガストフロント突風前線)という。特に,水平方向に噴き出す距離が 4km未満のダウンバーストをマイクロバースト(小型噴流)と呼ぶ。この現象を詳しく調査したシカゴ大学藤田哲也命名による。離陸または着陸する飛行機がダウンバーストの中に入ると,初め向かい風だったものが急に追い風に変わるため揚力を失い,失速する危険がある。また,風速 20m/sにも及ぶ強い下降気流によって飛行機が地上にたたきつけられることもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報