日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンピア」の意味・わかりやすい解説
ダンピア(William Dampier)
だんぴあ
William Dampier
(1652―1715)
イギリスの航海者、著述家。早くから船乗りや海賊としてカリブ海、アフリカ、南アメリカ沿岸で活躍、ついには太平洋を横断、1686年にはオーストラリア北西岸に上陸した。帰国後97年『新世界周航記』を発表して大好評、99年には続編を出した。この航海記録がきわめて正確な地理学的・気象学的観察に富むことから、ダンピアは科学的探検のパイオニアといわれている。著述はほかに2点ある。オーストラリア探検を願うこの元海賊に、99年イギリス海軍は異例の許可を与え、ダンピアは喜望峰を経てオーストラリア西岸に達するが、同大陸周航は果たせず、チモール、ニューギニア、ニュー・ブリテン島を探検し、ダンピア諸島、ダンピア海峡を発見、命名した。1702~07年、08~11年にも私略船で世界周航を行う。前者では、ロビンソン・クルーソーのモデルとなった船員セルカークをチリ沖の孤島から救出したといわれている。
[越智道雄]