チシマギキョウ(読み)ちしまぎきょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チシマギキョウ」の意味・わかりやすい解説

チシマギキョウ
ちしまぎきょう / 千島桔梗
[学] Campanula chamissonis Fedoror

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草。根出葉は倒披針(とうひしん)形から長楕円(ちょうだえん)形で光沢があり、縁(へり)に波状の浅い鋸歯(きょし)がある。茎は高さ5~15センチメートル、8月に紫色花を1個横向きに開く。花冠は鐘形で先は広がって5裂し、内面に長い白毛がある。萼片(がくへん)は三角状広披針形、ほぼ全縁で、長い軟毛がある。高山帯の岩隙(がんげき)や風衝草原に生え、中部地方以北の本州、北海道、および樺太(からふと)(サハリン)、千島アリューシャンアラスカに分布する。名は、最初の採集地である千島に由来する。

[高橋秀男 2021年10月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チシマギキョウ」の意味・わかりやすい解説

チシマギキョウ(千島桔梗)
チシマギキョウ
Campanula chamissonis

キキョウ科の小型の多年草。北半球寒帯と高山帯に分布する。日本では北海道と本州中部以北の高山の岩礫地に生える代表的な高山植物の一つである。根茎は細長く横にはい,倒披針形ないしへら形の根出葉を多数つける。葉質は厚く光沢があり,葉脈は上面でくぼむ。夏に,高さ5~10cmの茎を伸ばし,先端に広い鐘形の紫色の花を1個横向きにつける。花冠は先端が5裂し,内側に長毛を生じる。和名は千島で最初に見つけられたことによる。同じく高山植物として知られるイワギキョウ C. lasiocarpaによく似ているが,イワギキョウは花冠が短く,やや上向きに咲き,また本種のように内側に長毛を生じない。

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百科事典マイペディア 「チシマギキョウ」の意味・わかりやすい解説

チシマギキョウ

キキョウ科の多年草。本州中部以北,北海道の高山の砂礫(されき)地にはえ,樺太,アラスカにも分布する。茎は株立ちとなり,高さ10cm内外。根出葉は倒披針形で柄があり,茎には小型の葉が互生する。7〜8月,茎頂に長さ3〜4cmの青紫色の鐘形の花が1個咲く。花冠の内面や縁には長軟毛がある。近縁のイワギキョウは花冠が長さ2cm内外とやや小さく,内面には毛がない。ほぼ同じ地域に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のチシマギキョウの言及

【イワギキョウ】より

…花冠の長さ2~2.5cm,裂片に毛がない。これに似たチシマギキョウC.chamissonis Fedorovも高山植物で,アレウト列島から本州中部に分布する。花冠は大きく長さ3~3.5cm,裂片に長軟毛をつけ,萼裂片には歯牙がない。…

※「チシマギキョウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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