チドメグサ(読み)ちどめぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チドメグサ」の意味・わかりやすい解説

チドメグサ
ちどめぐさ / 血止草
[学] Hydrocotyle sibthorpioides Lam.

セリ科(APG分類:ウコギ科)の多年草。茎は長く地面をはう。葉は円形で径約1.5センチメートル、浅く切れ込む。托葉(たくよう)は質が薄く、すぐに腐る。6~10月、葉のわきから1本の花序の柄を出して先端に頭状の散形花序をつくり、小さな白色花を密に開く。花序の柄は葉柄より短く、地表に広がる葉に隠れて目だたない。果実は球形で細い稜(りょう)がある。本州から沖縄の人家の庭や道端に普通に生え、アジアの熱帯地域に広く分布する。葉をもんで、その汁を傷口につけると血が止まるといわれるので、この名がある。

 チドメグサ属はツボクサ属などとともにチドメグサ亜科を構成し、単散形花序と単葉をもつ、セリ科のなかでも原始的な一群で、世界の熱帯を中心に約100種分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]

 チドメグサ属は分子系統の解析により、APG分類ではウコギ科に移された。

[編集部 2021年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チドメグサ」の意味・わかりやすい解説

チドメグサ(血止草)
チドメグサ
Hydrocotyle sibthorpioides

セリ科の小型常緑多年草。茎は細く地面をはい,各節からひげ根を出して固着する。葉は互生し,長さ2~3cmの柄が上向きに伸びる。葉は径 1cm前後の円形で縁は浅く裂け,柄のつく部分は心臓形をなす。葉面には明るい光沢がある。夏から秋に,葉腋から細い花序を1本ずつ出し,先端に小さな花を数個散形に集めてつける。個々の花は径 1mmほどで白色の5弁花,ときに緑紫色を帯びることもある。この葉を傷口に貼ると止血の効果があるという。なお,同属の植物にノチドメ H. maritima,オオチドメ H. ramifloraなどがある。

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