チボーデ(読み)ちぼーで(その他表記)Albert Thibaudet

デジタル大辞泉 「チボーデ」の意味・読み・例文・類語

チボーデ(Albert Thibaudet)

[1874~1936]フランス批評家。文学現象を創造的持続として把握する新しい批評方法を確立。著「マラルメの詩」「ポール=バレリー」「フランス文学史」など。

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精選版 日本国語大辞典 「チボーデ」の意味・読み・例文・類語

チボーデ

  1. ( Albert Thibaudet アルベール━ ) フランスの文芸批評家。博識と柔軟な理解力で、文芸批評に新しい領域をひらいた。著「批評の生理学」「モンテーニュ」など。(一八七四‐一九三六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チボーデ」の意味・わかりやすい解説

チボーデ
ちぼーで
Albert Thibaudet
(1874―1936)

フランスの批評家、文学史家。ブルゴーニュ地方の出身。アンリ4世高校でベルクソンの生徒であった。パリ大学を終えてから各地の高校、大学で教鞭(きょうべん)をとり、1911年から『NRF(エヌエルエフ)』誌の有力寄稿者となり、24年から批評家の栄光しるしであるジュネーブ大学教授のポストについた。早くからべルクソン哲学の影響を受け、象徴派の詩人として文壇にデビューしたが、その精神傾向を保持しつつ、批評に転向した。『マラルメの詩』La Poésie de Stéphane Mallarmé(1913)は『ポールバレリー』(1924)、『ベルクソン派哲学』(1924)などとともにそのもっとも輝かしい成果であり、チボーデの詩人と批評家の共存を示す。やがて彼の批評は、豊かな感性と明晰(めいせき)な精神、さらにはまれにみる博識に支えられて、小説、批評、文学への反省として花開き実る。『フロベール その生活 小説 文体』(1922)、『NRF』への寄稿文を編集整理した『小説の反省』(1938)、『批評の反省』(1939)などにみられるとおりである。本来対象である作品を、開かれたもの、一つ出発点とみなすことにあったチボーデの批評は、『アミエルあるいは夢の部分』(1929)あたりから、自在の境地に達する。チボーデを通して、ある作品が別の作品と自由に対話し始めるのである。創見に満ちた『フランス文学史』Histoire de la littérature française de 1789 à nos jours(1936)、『モンテーニュ』(1936)もその例外ではない。

[松崎芳隆]

『辰野隆他訳『フランス文学史』全三冊(角川文庫)』『生島遼一訳『小説の美学』(1940・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チボーデ」の意味・わかりやすい解説

チボーデ
Thibaudet, Albert

[生]1874.4.1. ソーヌエロアール,トゥルニュス
[没]1936.4.16. ジュネーブ
フランスの批評家。パリ大学で哲学を学び,ベルグソンに深く傾倒。いくつかのリセ (高等中学校) ,大学の教壇を経て,1925年ジュネーブ大学教授となり,終生フランス文学を講じた。 11年以来『NRF』誌の定期寄稿者となり,『マラルメの詩』 La Poésie de Stéphane Mallarmé (1912) によって,第1次・2次世界大戦間の最もすぐれた批評家としての第一歩を踏出す。代表作『フローベール』 Gustave Flaubert (22) をはじめ,M.バレス (21) ,バレリー (23) ,スタンダール (31) などの作家論のほか,『ベルグソンの哲学』 Le Bergsonisme (23) ,『批評の生理学』 Physiologie de la critique (30) ,『1789年から現代までのフランス文学史』 Histoire de la littérature française de 1789 à nos jours (未完,36) など。

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