チャルメルソウ(読み)ちゃるめるそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャルメルソウ」の意味・わかりやすい解説

チャルメルソウ
ちゃるめるそう
[学] Mitella furusei Ohwi var. subramosa Wakabayashi

ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の多年草。根茎はやや太く、地中から斜め上に伸び、その先に長い柄をもつ根出葉をつける。葉身は広卵形で縁(へり)は不規則に浅裂し、表面は濃緑色、裏面は淡緑色でやや赤みを帯びる。早春腺毛(せんもう)を密生した花茎を出し、小さい花を総状につける。花弁は5枚、羽状に3~5裂し、裂片は線形で腺点を密につけ、赤みを帯びる。雄しべは5本、花糸は短く、花弁と接してつく。子房は下位、2心皮からなり、側膜胎座に多数の胚珠(はいしゅ)をつける。蒴果(さくか)は上部が二つに裂けてらっぱ状に開き、種子を出す。この裂開のようすをらっぱ状の楽器チャルメラに例えて和名がつけられた。山の湿った陰地や渓流の淵(ふち)などに生え、近畿地方以西の本州、四国の一部、九州北部に分布する。

[若林三千男 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャルメルソウ」の意味・わかりやすい解説

チャルメルソウ
Mitella stylosa; bishop's cap

ユキノシタ科の多年草。本州中部以南の谷間の湿った地に自生する。葉は根生し,葉柄は長い。腺毛が多く葉は軟らかい。葉身は卵形で葉脚は心臓形,葉縁は浅く裂けてふぞろいの鈍い鋸歯がある。4~5月頃に,30cmほどの数本の花茎が伸びて,多数の小さな暗赤色の花をつける。花柄や5深裂した萼にも腺毛がある。花弁は5枚あって3~5裂し,各裂片は細い線形をしている。 蒴果は浅い鐘形で,その形が中国の楽器チャルメラに似ていることからこの名がある。近縁の種類が多数あり北日本のエゾチャルメルソウ M. integripetala,九州のツクシチャルメルソウ M. kiusiana,四国のシコクチャルメルソウ M. makinoiなど 10種あまりが日本に自生するほか,同属の植物は北半球の温帯に分布している。

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