改訂新版 世界大百科事典 「チョウトンボ」の意味・わかりやすい解説
チョウトンボ
Rhyothemis fuliginosa
トンボ目トンボ科の昆虫。中型黒色の種類で翅の幅が広く,先端を除いて全面黒藍色に光り,ひらひらとチョウのように舞う。青森県から種子島までの日本列島の平地の普通種であったが,近年は低地池沼の人為汚染のために著しく減少した。国外では朝鮮半島,中国中北部にも分布し,5~9月にわたって出現する。幼虫は体が短くて肢が長く,平地池沼に育つ。琉球諸島では沖縄本島以南の諸島にオキナワチョウトンボが見られる。これは翅全体に美しい橙黄色と黒色の斑紋がある。この属は東南アジア各地に10種類以上の別種を産し,分布の広いスキバチョウトンボR.phyllisのようなものでは,島嶼(とうしよ)によってさらにいくつかの亜種に分かれる。
執筆者:朝比奈 正二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報