日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツァイス」の意味・わかりやすい解説
ツァイス
つぁいす
Carl Zeiss
(1816―1888)
ドイツの光学器械製造家。ワイマールに生まれる。初め医学を志したが、のちに光学器械の製造に転じ、1846年イエナに顕微鏡工場を設立した。よい顕微鏡の製作には光学理論の研究が必要であると考え、イエナ大学の数学、物理学教授であったアッベの協力を求めた。のちにアッベを共同経営者として迎え、また多くの光学ガラスの開発、研究を行っていた化学者ショットにも協力を求め、没後1889年に総合的な光学器械会社カール・ツァイス社が完成した。カール・ツァイス社はアッベによって引き継がれ、さらにカール・ツァイス財団の管理下に移され、優れた光学器械の製造を続けた。1945年第二次世界大戦の終結に伴い、イエナが東ドイツに含まれるようになったが、経営陣と約100人の技術者がアメリカ軍の援助のもとにイエナから西ドイツ領内に脱出し、カール・ツァイス財団はハイデンハイムに、カール・ツァイス社はオーバーコッヘンに、ショットガラス会社はマインツにそれぞれ新しい社屋、工場を建設し、光学器械の製造を続けた。東ドイツのカール・ツァイス社、ショットガラス会社はイエナで生産を続けていたが、1990年東西ドイツの統一に伴い、東西カール・ツァイス社およびそれらの関連会社もカール・ツァイス財団のもとに統一されることになった。その後、東西両ツァイス、ショットその他の関連会社は一体となって再編成を行い、光学機械から電子機械、半導体、工業用機械まで幅広く生産を行っている。
[辻内順平]