ツノゴマ(読み)つのごま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ
つのごま / 角胡麻
[学] Proboscidea louisianica (Mill.) Thell.
Proboscidea jussieui Steud.

ツノゴマ科(APG分類:ツノゴマ科)の一年草。北アメリカからメキシコにかけてが原産地といわれる。高さは約1メートル。枝は分枝し、広く開張して茂る。葉は互生または対生し、卵形で質は柔らかく、綿毛がある。夏、総状花序をつくり、淡紫色または乳白色で長さ約5センチメートルの花を開く。果実蒴果(さくか)で、長さ約15センチメートル、上部はくちばし状の鉤角(こうかく)形を呈する。この果実の形を珍重し、熟果を枝ごと乾かしていけ花、装飾に利用する。名は、この果実の形に由来する。また、この角(つの)状の突起が歩行者の衣服にひっかかって悩ますところからタビビトナカセの名もある。若芽ピクルスとして食用にする。

 日当り排水のよい所に適し、育てやすい。繁殖は実生(みしょう)により、春播(ま)きとする。

[柳 宗民 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ(角胡麻)
ツノゴマ
Proboscidea jussieui; unicornplant

ツノゴマ科の一年草。アメリカ合衆国南部からメキシコにかけての原産で,日本でも観賞用に温室で栽培されることがある。全体が粘液性の軟毛でおおわれ,高さ 60~90cmに達する。葉は円状の腎臓形で互生する。夏,キリに似た太い筒形の花を総状花序につける。花冠の上部は開いて浅く5片に裂け,正面から見ると左右相称の唇形をなす。白色であるが,紫色や黄色の斑点が目立つ。果実は長さ 15cmほどの 蒴果で下垂し,上半部は湾曲して角状となる。英名ユニコーン (一角獣) はこの形に基づく。未熟なものを酢漬にして食する。別名タビビトナカセともいう。果実にとげがあって歩行のじゃまになることによる。

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