ツノゴマ(その他表記)(common)unicorn plant
proboscis flower
Proboscidea louisianica(Mill.)Thell.(=P. jussieui Keller)

改訂新版 世界大百科事典 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ
(common)unicorn plant
proboscis flower
Proboscidea louisianica(Mill.)Thell.(=P. jussieui Keller)

ツノゴマ科の一年草。特異な果実ドライフラワーとして観賞するために,栽植される。植物体は腺毛を密生し,茎は枝を分かち,地面をはうように延び広がる。葉は互生し,柔らかく,やや肉質,葉身は円卵形から心形で,基部は深く心形となり,幅10~30cm。夏に茎の頂端部の総状花序に,長さ約6cmの淡黄色から淡紅色あるいは紫色をおびた筒状の花をつける。果実は長さ10cmほどの円柱状の種子をいれる部分と,先端部の2本の長い鉤針(かぎばり)状の角状突起からなり,動物に引っかけられて運ばれ種子を散布する植物として有名である。北アメリカ南部からメキシコ原産

 キバナツノゴマIbicella lutea (Ridl.) Van Eseltineはツノゴマに似て,やはり観賞用に栽植される南アメリカ(ブラジル~アルゼンチン)原産の植物。どちらも4本のおしべを有しているが,ツノゴマは萼片基部が合着して筒状になり,キバナツノゴマは完全に5片に分裂している。日本ではキバナツノゴマのほうが多く栽培される。種子の発芽は不定であるが,こぼれ落ちた前年以前の種子は種皮が腐食するためか,4月に発芽する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ
つのごま / 角胡麻
[学] Proboscidea louisianica (Mill.) Thell.
Proboscidea jussieui Steud.

ツノゴマ科(APG分類:ツノゴマ科)の一年草。北アメリカからメキシコにかけてが原産地といわれる。高さは約1メートル。枝は分枝し、広く開張して茂る。葉は互生または対生し、卵形で質は柔らかく、綿毛がある。夏、総状花序をつくり、淡紫色または乳白色で長さ約5センチメートルの花を開く。果実は蒴果(さくか)で、長さ約15センチメートル、上部はくちばし状の鉤角(こうかく)形を呈する。この果実の形を珍重し、熟果を枝ごと乾かしていけ花、装飾に利用する。名は、この果実の形に由来する。また、この角(つの)状の突起が歩行者の衣服にひっかかって悩ますところからタビビトナカセの名もある。若芽ピクルスとして食用にする。

 日当り排水のよい所に適し、育てやすい。繁殖は実生(みしょう)により、春播(ま)きとする。

[柳 宗民 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ(角胡麻)
ツノゴマ
Proboscidea jussieui; unicornplant

ツノゴマ科の一年草。アメリカ合衆国南部からメキシコにかけての原産で,日本でも観賞用に温室で栽培されることがある。全体が粘液性の軟毛でおおわれ,高さ 60~90cmに達する。葉は円状の腎臓形で互生する。夏,キリに似た太い筒形の花を総状花序につける。花冠の上部は開いて浅く5片に裂け,正面から見ると左右相称の唇形をなす。白色であるが,紫色や黄色の斑点が目立つ。果実は長さ 15cmほどの 蒴果で下垂し,上半部は湾曲して角状となる。英名のユニコーン (一角獣) はこの形に基づく。未熟なものを酢漬にして食する。別名タビビトナカセともいう。果実にとげがあって歩行のじゃまになることによる。

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百科事典マイペディア 「ツノゴマ」の意味・わかりやすい解説

ツノゴマ

北米南部原産のツノゴマ科の一年草。観賞用に栽培。全草に粘毛がありべたつく。茎は横に広がり,葉は厚くキリの葉に似る。夏,淡紫紅色の先の5裂した筒状の花を開く。果実は長いかぎ状の角をもつが,これはめしべの花柱が宿存したもの。果実は裂開後木化し,角は2裂する。この角が歩行者の裾(すそ)にからまるためタビビトナカセの別名もある。南米熱帯の原産で類品のキバナノツノゴマはより小柄で,濃黄色の花をつける。

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