テオドシウス法典(読み)ておどしうすほうてん(英語表記)Codex Theodosianus ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオドシウス法典」の意味・わかりやすい解説

テオドシウス法典
ておどしうすほうてん
Codex Theodosianus ラテン語

ローマ皇帝の発した勅法constitutionesを集めた法典の一つ。テオドシウス2世は、高官のアンティオクスを長とする委員会にその編纂(へんさん)を命じて、438年に完成し、帝国全土(東と西双方)に発布した。312年以後の勅法を収める。テーマに従って16巻に分けられ、各巻がさらに章別され、各章は勅法を年代順に並べ、しばしば勅法に短い解説をつける。たとえば、第1巻は国制、高級官職を扱い34章、第2巻は裁判関係で33章、第3巻は家族法で32章、第4巻は財産関係で24章、第5巻は土地法関係で20章、第10巻は財政で26章、第11巻は租税で39章、第12巻は都市参事会員(デクリオネス)関係で19章、第16巻は教会と宗教関係で11章、などである。これ以前、3世紀末にコーデックス・グレゴリアヌスやコーデックス・ヘルモゲニアヌスなどの勅法集があったが、それらは私撰(しせん)で、初めての官撰勅法集としての意義は大きく、歴史の史料としても貴重である。

[弓削 達]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオドシウス法典」の意味・わかりやすい解説

テオドシウス法典
テオドシウスほうてん
Codex Theodosianus

東ローマ皇帝テオドシウス2世によって編纂され,438年に公布されたローマ法史上初の官撰法令集。バレンチニアヌス3世により西ローマ帝国にも公布され,439年全ローマ帝国に施行された。この法典は混乱していた法源を整理しようとしたテオドシウス2世の計画を部分的に実現したもので,コンスタンチヌス1世以後の勅法が事項別に 16巻に分類,集録され,各巻は年代順に勅法を配列した章に細分されている。『テオドシウス法典』は一部『アラリック王抄典』 (『西ゴート人のためのローマ法』) などにも取入れられて,特に西ローマ帝国で長く行われた。古典期以後ユスチニアヌス帝前のローマ法を知るための重要な法源である。

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