改訂新版 世界大百科事典 「テオドシウス法典」の意味・わかりやすい解説
テオドシウス法典 (テオドシウスほうてん)
Codex Theodosianus
438年,ローマ帝国皇帝テオドシウス2世により制定公布された公的勅法集成。16巻。ハドリアヌス帝以降の勅法を収録したグレゴリウス法典およびヘルモゲニアヌス法典と呼ばれる3世紀末の私撰の二つの勅法集成にならい,主として実務のために,312年以降発布の一般的効力をもつ勅法を事項ごとに巻・章に分け,それぞれ年代順に収録したもの。その内容の大半は,いくつかの部分的写本および西ゴート族のローマ法典を通して知られているが,私法的規定は比較的少なく公法的なものが多数を占め,当時の政治・社会を知るきわめて重要な資料とされる。なお,本法典はその後西方ではローマ帝国滅亡後のゲルマン人などのローマ人法に大きな影響を与え,また東方ではユスティニアヌス帝の大規模な法典編纂の先駆となった。
執筆者:西村 重雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報