クロケット(読み)くろけっと(英語表記)David Crockett

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロケット」の意味・わかりやすい解説

クロケット
Crockett, Davy(David)

[生]1786.8.17. テネシー,ロジャーズビル
[没]1836.3.6. テキサスアラモ
アメリカの辺境開拓者,政治家。生前からクマ殺しに成功した男といわれたり,インディアンと戦った勇敢な戦士とされたりした伝説的な人物であったが,死後には勇壮な冒険談やほら話を通してアメリカ民話の神話的な人物となった。クリーク戦争 (1813~14) において A.ジャクソン指揮下にインディアンと戦い勇名をはせてから,1821年にテネシー州議会議員,23年以降数回連邦下院議員をつとめ,「アライグマの皮を着た国会議員」の異名を取った。しかし連邦下院議員時代にジャクソンの反対派に転じ,やがてメキシコからのテキサス分離を目指してアメリカ軍に身を投じ,アラモでメキシコ軍と戦い戦死した。 35年以降多くの「クロケット情報録」が出ており,また T.チルトンの助力を受けて書かれた自叙伝はのちのアメリカ文学に影響を与えた。

クロケット

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロケット」の意味・わかりやすい解説

クロケット
くろけっと
David Crockett
(1786―1836)

アメリカの西部開拓時代の伝説的な辺境の英雄。普通「デービー・クロケット」として知られる。テネシーの辺境に生まれ育ち、腕ききの猟師ライフル名手として名をあげる。アラバマ南部でクリーク人の反乱契機として起こった1813~14年のクリーク・インディアン戦争に従軍、アンドルー・ジャクソン率いる討伐軍の斥候となる。のち政界入りし、ジャクソン反対派に推されて27~31年と33~35年の2期、連邦下院議員を務めた。35年落選して、テキサス独立戦争を支援する義勇軍に加わり、36年3月6日、有名なアラモの攻防戦において戦死した。

平野 孝]

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