日本大百科全書(ニッポニカ) 「デネブ」の意味・わかりやすい解説
デネブ
でねぶ
Deneb
はくちょう座のα(アルファ)星の固有名。アラビア語の「雌鳥(めんどり)の尾Al Dhanab al Dajajah」の後半部が省略された形に由来。ギリシアでは星座を雌鶏ではなく白鳥と見ていたが、いずれにしても、この星は尾の位置にある。夏の夜空で、こと座α星のベガ、わし座α星のアルタイルと結んで「夏の大三角」をつくる。平均の実視等級は1.25等であるが、0.08等の幅で変光している。天球上の位置は、2000年分点で赤経20時41分、赤緯プラス45度17分である。距離は約1800光年。スペクトル型A2の白黄色の光を放つ超巨星で、表面温度は約9200K。半径は太陽の200倍程度、質量は太陽の25倍程度と推定されている。毎秒5キロメートルで太陽系に近づきつつある。
[岡崎 彰]