光度が著しく大きく,ヘルツシュプルング=ラッセル図上で各スペクトル型の最上部を占めている星である。これらの星は光度階級Ⅰに分類され,その光度は太陽の103倍から106倍以上に達するものもある。しかし,スペクトル分類では超巨星に分類されない星でもO型主系列星,Of型星,ウォルフ=ライエ星,Be型星など超巨星に匹敵する光度の星もある。超巨星は主系列から進化した星で,その大きさが星としての上限に達したものと考えることができる。A.S.エディントンは星自身の重力により中心に向かう力よりも放射圧による外向きの力が大きくなると星は不安定となり,重力加速度が星の半径の2乗に逆比例することから,これにより星の大きさの上限が決まると考えた。事実,今日知られている超巨星はすべてこの〈エディントン限界〉よりも小さい。しかし同時にこの〈エディントン限界〉にまで達するほど大きな星もほとんど知られていない。このことは放射圧以外にも不安定性の原因があることを意味し,大気中の乱流運動による乱流圧の効果などが重要と考えられている。事実,超巨星のスペクトルはその大気中で大規模な乱流運動やガス流出などが起こっていることを示すものが多く,また時間的変動を示すものも多い。超巨星は光度,半径のみならず一般にその質量も大きく,最大では太陽質量の100倍にも達するものと考えられている。このような大質量星の進化はきわめて早く,太陽質量の20倍の星が主系列にとどまる時間は約107年,100倍の星では約3×106年程度にすぎず,これらの星が主系列を離れた後の進化の時間尺度はさらに短い。このことは現在知られている超巨星はごく最近誕生した星であることを意味する。一般に超巨星の存在は最近における活発な恒星誕生をあとづけるものとして銀河進化の解明にとっても重要である。また超巨星の光度が大きいため遠くにあってもよく観測でき,銀河系構造の解明にも重要な役割を果たした。さらにある種の超巨星の絶対等級は一定と考えられるので,これらの超巨星を種々の銀河で観測することにより,これら銀河までの距離を決定することが可能であり,これは宇宙スケールを決定する有力な方法の一つとなっている。代表的な超巨星として,ベテルギウス,デネブ,アンタレスなどがある。
執筆者:辻 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大質量の恒星が中心部での核融合反応で水素を使い果たし、主系列を離れて膨張したもの。超巨星は若いO型のスペクトル型から進化の進んだM型まで幅広く存在する。太陽の100万倍近くもの光度を有し、典型的な赤色超巨星の半径は太陽半径の数百倍にも達する。渦巻き銀河の腕にそって多く見られ、年齢は平均的に若く、数百万年程度であり、それより古い星の集団にはみられない。多くは不安定な状態にあって、大量の質量放出を行っている。青色超巨星の一種であるケフェウス型変光星は変光周期と光度との間に一定の関係があるので、遠方の恒星系の距離を求めるのに利用される。赤色超巨星にはミラ型変光星が含まれる。オリオン座の1等星であるリゲルは青色超巨星で、ベテルギウスやアンタレスは赤色超巨星である。
[小平桂一・安藤裕康]
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…恒星は高密度の星間雲の凝縮と分裂によって生じ,誕生したばかりの星は原始星と呼ばれる。これらは,温度が低く赤色で,光度も半径も大きい超巨星であるが,その時期は短くごくふつうの安定な状態にある主系列星へと進化する。ただし,質量のあまり大きくない星ではこの主系列前の巨星または亜巨星の時期があり,おうし座T型星はこれに相当する。…
※「超巨星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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