超巨星(読み)ちょうきょせい(英語表記)supergiant

日本大百科全書(ニッポニカ) 「超巨星」の意味・わかりやすい解説

超巨星
ちょうきょせい
supergiant

質量恒星が中心部での核融合反応で水素を使い果たし、主系列を離れて膨張したもの。超巨星は若いO型のスペクトル型から進化の進んだM型まで幅広く存在する。太陽の100万倍近くもの光度を有し、典型的な赤色超巨星半径は太陽半径の数百倍にも達する。渦巻き銀河の腕にそって多く見られ、年齢は平均的に若く、数百万年程度であり、それより古い星の集団にはみられない。多くは不安定な状態にあって、大量の質量放出を行っている。青色超巨星の一種であるケフェウス型変光星は変光周期と光度との間に一定の関係があるので、遠方の恒星系の距離を求めるのに利用される。赤色超巨星にはミラ型変光星が含まれる。オリオン座の1等星であるリゲルは青色超巨星で、ベテルギウスアンタレスは赤色超巨星である。

[小平桂一・安藤裕康]


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百科事典マイペディア 「超巨星」の意味・わかりやすい解説

超巨星【ちょうきょせい】

ヘルツシュプルング=ラッセル図上で,各スペクトル型の最上部にある星。巨星よりさらに大きく,絶対光度が太陽の約103〜106倍で,質量が太陽の100倍に達するものもある。主系列星から進化した星で,銀河進化解明にとって重要。ベテルギウス,アンタレス等。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「超巨星」の意味・わかりやすい解説

超巨星
ちょうきょせい
supergiant star

巨星よりも絶対光度が強く,-5等にも及ぶいくつかの恒星をさす。オリオン座β星 (リゲル ) ,はくちょう座α星 (デネブ ) ,りゅうこつ座α星 (カノープス ) ,さそり座α星 (アンタレス ) などがこれに属する。希薄な厚い大気をもつため,スペクトルは細い輝線から成る。

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デジタル大辞泉 「超巨星」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きょせい〔テウ‐〕【超巨星】

巨星のうち、質量・半径・光度が特に大きい恒星。半径が太陽の数百倍、光度が太陽の数万倍以上に達するものもある。ベテルギウスアンタレスなど。→巨星

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精選版 日本国語大辞典 「超巨星」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐きょせい テウ‥【超巨星】

〘名〙 半径が太陽の数百倍もある恒星。絶対光度は太陽の数万倍。アンタレス、ベテルギウス、リゲルなど。

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世界大百科事典 第2版 「超巨星」の意味・わかりやすい解説

ちょうきょせい【超巨星 super‐giant star】

光度が著しく大きく,ヘルツシュプルング=ラッセル図上で各スペクトル型の最上部を占めている星である。これらの星は光度階級Iに分類され,その光度は太陽の103倍から106倍以上に達するものもある。しかし,スペクトル分類では超巨星に分類されない星でもO型主系列星,Of型星,ウォルフ=ライエ星,Be型星など超巨星に匹敵する光度の星もある。超巨星は主系列から進化した星で,その大きさが星としての上限に達したものと考えることができる。

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世界大百科事典内の超巨星の言及

【恒星】より

…恒星は高密度の星間雲の凝縮と分裂によって生じ,誕生したばかりの星は原始星と呼ばれる。これらは,温度が低く赤色で,光度も半径も大きい超巨星であるが,その時期は短くごくふつうの安定な状態にある主系列星へと進化する。ただし,質量のあまり大きくない星ではこの主系列前の巨星または亜巨星の時期があり,おうし座T型星はこれに相当する。…

※「超巨星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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