改訂新版 世界大百科事典 「わし座」の意味・わかりやすい解説
わし(鷲)座 (わしざ)
Aquila
略号はAql。天の川沿いに見える初夏の星座。ギリシア神話では大神ゼウスがトロイアの美少年ガニュメデスをさらうために化身した大鷲の姿で,ガニュメデスは星座ではみずがめ座の水がめをかつぐ少年の姿になっている。α星アルタイル(とぶ鷲)は光度0.8等,A7型の輝星で,七夕の牽牛星(和名は彦星)として有名である。両脇に光度3.9等のβ星,光度2.7等のγ星を従え,三ッ星のように一直線に並ぶが,中国ではこれを河鼓三星と呼び,日本では〈犬飼星〉と呼んでいる。η星は変光幅3.7~4.7等,スペクトル型F~G,変光周期7.1766日のケフェイド変光星である。この星座内には散開星団や惑星状星雲が数多く見られる。概略位置は赤経19h30m,赤緯+2°。午後8時の南中は9月上旬である。
執筆者:石田 五郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報