アルタイル(読み)あるたいる(英語表記)Altair

翻訳|Altair

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル
あるたいる
Altair

わし座のα(アルファ)星の固有名。アラビアで、わし座のβ(ベータ)星、γ(ガンマ)星とあわせて「飛ぶ鷲(わし)Al Nasr al Tair」とよんでいたが、現在の固有名はその後半部に由来する。夏の夜空で、こと座α星のベガ、はくちょう座α星のデネブと結んで「夏の大三角」をつくる。漢名は牽牛星(けんぎゅうせい)、和名彦星(ひこぼし)といい、天の川を挟んで織女星(ベガ)と相対し、古来から、七夕(たなばた)の星として日本人には親しみ深い。中国では、β星、γ星とともに「河鼓三星(かこさんせい)」と名づけ、アルタイルを大将軍、β星を左将軍、γ星を右将軍ともいう。実視等級は0.77等。天球上の位置は、2000年分点で赤経19時51分、赤緯プラス8度52分。太陽からの距離は17光年。スペクトル型A7の主系列星。表面温度は7500K。質量は太陽の1.7倍で、赤道半径は1.8倍と推定される。アルタイルは高速自転をしており、赤道表面の自転速度は少なくとも秒速240キロメートルに達する。赤道半径は遠心力のために極半径よりも14%ほど膨らんでいる。占星術では災いをおこす星とされている。

岡崎 彰]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル
Altair

わし座α星 (α-Aql) の固有名。その名は「わし」を意味するアラビア語に由来する。牽牛星犬飼星,ひこぼし (彦星) などの名がある。実視等級 0.77等,スペクトル型 A7の主系列星で,質量は太陽の約 1.8倍,半径は約 1.6倍の高温の星である。絶対的な明るさは太陽の約 10倍で,地球から 16.5光年の距離にある。この星の目立つ特徴は急速な自転であり,スペクトル中の吸収線の幅から秒速 260km以上で回転していることがわかっている。

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