アルタイル(その他表記)Altair

翻訳|Altair

デジタル大辞泉 「アルタイル」の意味・読み・例文・類語

アルタイル(Altair)

わしαアルファ。光度0.8等、距離17光年。夏の夜、天の川を隔てて琴座織女星ベガ)と相対する。牽牛けんぎゅう彦星ひこぼし

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精選版 日本国語大辞典 「アルタイル」の意味・読み・例文・類語

アルタイル

  1. ( Altair 元来アラビア語で「鳥」の意 ) 鷲(わし)座のアルファ星七夕の星の一つ。一等星。地球からの距離は一七光年。直径太陽の一・六倍。夏、天の川を隔てて琴座のベガ(織女星)と相対。漢名は、牽牛星(けんぎゅうせい)彦星

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改訂新版 世界大百科事典 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル
Altair

わし座のα星。ベガ,デネブとともに〈夏の大三角形〉をつくる。この名は,アラビア名ナスル・アルターイルal-Nasr al-Ṭā'ir(飛ぶワシ)に由来する。α星をはさんで,γ,βの3星を翼を広げたワシの姿に見た。ギリシア神話では,ゼウストロイアの美少年ガニュメデスを略奪した際の化身とされている。和名は彦星。中国名牽牛けんぎゆう)を当時の男子の敬称によって呼んだものである。また,犬飼星の別称もあり,七夕説話伝来以前の和名かと思われる。《史記》天官書,《爾雅(じが)》釈天などの文献によると,中国では後漢のころまでわし座のα,β,γ3星を大鼓の形に見て河鼓(かこ)(天の川のほとりの大鼓の意)と呼んでいたことが明白である。七夕説話の成立と流布に伴い,二十八宿中の〈牛宿〉を示す〈牽牛星〉が,その北に位置する〈河鼓〉に名称を譲り渡したと考えられる。概略位置は赤経19h51m,赤緯+8°52′。9月初旬の午後9時ごろに南中する。実視等級は0.8等。A7型のスペクトルをもつ主系列星で,半径は太陽の1.7倍。太陽の100倍以上のスピードで自転する高速自転星として知られる。距離は16光年。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル
あるたいる
Altair

わし座のα(アルファ)星の固有名。アラビアで、わし座のβ(ベータ)星、γ(ガンマ)星とあわせて「飛ぶ鷲(わし)Al Nasr al Tair」とよんでいたが、現在の固有名はその後半部に由来する。夏の夜空で、こと座α星のベガ、はくちょう座α星のデネブと結んで「夏の大三角」をつくる。漢名は牽牛星(けんぎゅうせい)、和名は彦星(ひこぼし)といい、天の川を挟んで織女星(ベガ)と相対し、古来から、七夕(たなばた)の星として日本人には親しみ深い。中国では、β星、γ星とともに「河鼓三星(かこさんせい)」と名づけ、アルタイルを大将軍、β星を左将軍、γ星を右将軍ともいう。実視等級は0.77等。天球上の位置は、2000年分点で赤経19時51分、赤緯プラス8度52分。太陽からの距離は17光年。スペクトル型A7の主系列星。表面温度は7500K。質量は太陽の1.7倍で、赤道半径は1.8倍と推定される。アルタイルは高速自転をしており、赤道表面の自転速度は少なくとも秒速240キロメートルに達する。赤道半径は遠心力のために極半径よりも14%ほど膨らんでいる。占星術では災いをおこす星とされている。

[岡崎 彰]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル
Altair

わし座α星 (α-Aql) の固有名。その名は「わし」を意味するアラビア語に由来する。牽牛星,犬飼星,ひこぼし (彦星) などの名がある。実視等級 0.77等,スペクトル型 A7の主系列星で,質量は太陽の約 1.8倍,半径は約 1.6倍の高温の星である。絶対的な明るさは太陽の約 10倍で,地球から 16.5光年の距離にある。この星の目立つ特徴は急速な自転であり,スペクトル中の吸収線の幅から秒速 260km以上で回転していることがわかっている。

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百科事典マイペディア 「アルタイル」の意味・わかりやすい解説

アルタイル

わし座のα星。七夕(たなばた)の牽牛(けんぎゅう)星。彦星とも。白色の0.8等星で,距離16光年。
→関連項目牽牛(星)彦星ベガわし(鷲)座

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世界大百科事典(旧版)内のアルタイルの言及

【牽牛・織女】より

…おそらく元来は牽牛が男の仕事である農耕を,織女が女の仕事である養蚕紡織を象徴し,神話的宇宙観の中で二元構造をなす一対の神格であったものが,星座にも反映されたものであろう。星名は,牽牛がアルタイルAltair,織女がベガVega。この2神は,後には七夕(たなばた)の行事と結びついた恋愛譚の主人公となる。…

※「アルタイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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