日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュ・ビニョー」の意味・わかりやすい解説
デュ・ビニョー
でゅびにょー
Vincent Du Vigneaud
(1901―1978)
アメリカの生化学者。イリノイ大学卒業。ロチェスター大学で博士号をとり、ジョージ・ワシントン大学、コーネル大学教授。メチオニンとその関連物質を研究し、体内でのメチル基の移動を明らかにした。1940年、ビタミンHとよばれていた物質がビオチンであることを示し、その構造を決定し、合成に成功した。ついで、脳下垂体ホルモンであるオキシトシンが9個のアミノ酸からなるポリペプチドであることをみいだし、その結合の順序を決定した。1954年には、アミノ酸を連結して、天然のものと同じオキシトシンを合成したが、これはその後のタンパク質の人工的な合成研究の足掛りとなった。生化学的に重要な硫黄(いおう)化合物の研究、とくにポリペプチドホルモンを初めて全合成した業績により1955年ノーベル化学賞を授与された。
[石館三枝子]