翻訳|cysteine
シスチンと容易に酸化還元によって相互転換する含硫アミノ酸の一種。メルカプト(スルフヒドリルすなわちSH)基をもつ不安定な化合物で、空気中の酸素により容易に酸化されてシスチンとなる。
水やエタノールに溶けるが、中性・アルカリ性溶液中では不安定である。多くのタンパク質や還元型グルタチオン中に含まれる。生体内では、メチオニンの代謝経路によって生成するシスタチオニンから生合成される。すなわち、メチオニンの脱メチル生成物ホモシステインとセリンの間のチオール移転反応により、中間体シスタチオニンを経て合成される。システインデスルフヒドラーゼがその嫌気的代謝に関与している。また、動物組織中にシステインやシスチンが多量に供給されると、システインは酸化されてシステイン酸となり、さらに脱炭酸されてタウリンとなる経路が進行する。
なお、タンパク質分子中でしばしば側鎖にみられるSH基は、構造や生理機能の発現に寄与し、多くの酵素タンパクではこのSH基が酵素活性に影響することが知られている。これらのSH基はいずれもシステインのSHである。また栄養的には、システインはシスチンと同様に扱われる。
[入江伸吉]
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…放射性同位体35S(β-崩壊,半減期87日)は,硫黄の中性子照射によって容易に得られるので,含硫アミノ酸の代謝研究にトレーサーとして用いられる。【漆山 秋雄】
[生体と硫黄]
硫黄は生体を構成する必須元素の一つで,含硫アミノ酸(システイン,メチオニン)の成分としてタンパク質に含まれる。とくにシステインは,別のシステインと結合してジスルフィド(-S-S-)架橋を形成して,タンパク質の立体構造の形成・維持に重要な役割を果たす。…
※「システイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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