日本大百科全書(ニッポニカ) 「デレッダ」の意味・わかりやすい解説
デレッダ
でれっだ
Grazia Deledda
(1871―1936)
イタリアの女流小説家。サルデーニャ島ヌオロの裕福な家庭に生まれる。独学で文学的形成を遂げながら10代なかばにして早くも作家活動に入り、1900年に結婚してローマに移住し、2児の母となってからも、主婦業の合間に、膨大な数に上る作品を書いた。その生涯は自伝的小説『コジマ』(1937、没後刊)に詳しい。作品の大半は、故郷サルデーニャのジェンナルジェントゥ山に立てこもる山賊を主人公とし、彼らの特異な閉鎖社会をめぐって生じる劇的な事件を題材としている。だが、それらの作品群があくまでも大衆小説として当時のプチ・ブルジョアジーに膾炙(かいしゃ)し、ファシズム体制を本質的に支えたという事実を看過して、デレッダの文学を論ずることはできないであろう。代表作に『エリアス・ポルトル』(1903)、『灰』(1904)、『きづた』(1908)、『風にそよぐ葦(あし)』(1913)などがある。26年ノーベル文学賞を受賞。
[鷲平京子]