デンジソウ(読み)でんじそう(英語表記)pepper-wort

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ
でんじそう / 田字草
pepper-wort
water-clover
[学] Marsilea quadrifolia L.

デンジソウ科の夏緑性水生シダ。根茎は泥中を長くはう。葉は、扇形の小葉が四枚田の字形につき、四つ葉のクローバーに似る。水中胞子嚢(のう)果をつくり、大胞子小胞子が形成される。かつては北海道から沖縄県まで各地の水田や沼に広く分布していたが、稲作の有害雑草とみなされて現在は激減した。アジアやヨーロッパの暖温帯にみられるが、北アメリカにもヨーロッパから帰化したものが分布している。中国では、毒蛇咬傷(こうしょう)にも効く清熱解毒作用の薬草とされる。また、オーストラリア先住民は、以前はこの類の嚢果を粉状にして食べていた。国によっては家畜飼料とされる。

[栗田子郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ(田子草)
デンジソウ
Marsilea quadrifolia; clover fern

デンジソウ科の夏緑性シダ植物。水田や沼などの泥地に生える。根茎は泥中を長くはい不規則に分枝し,細い根が節から伸びる。葉は4枚の小葉が葉柄先端につく。葉柄は長く伸び,葉面は水面に浮び,また,しばしば空中に出ることもある。暖地では常緑性であるが,日本では葉は秋に枯れる。葉柄の基部に1~3個の豆粒状で硬い胞子嚢果をつける。胞子はいずれも四面体型。小葉の並んだ状態が田という字に似ているのでデンジソウの名がつけられた。

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