デンジソウ(その他表記)pepperwort
Marsilea quadrifolia L.

改訂新版 世界大百科事典 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ
pepperwort
Marsilea quadrifolia L.

カタバミに似た葉をもち,水田池沼に生える水生シダ。葉の縁どりが田の字に似ているところから和名がつき,タノジモ,カタバミモの名もある。夏緑性。根茎は細く,長くはい,不規則に枝分れし,淡褐色の糸がある。泥中に根をおろす。葉はやや接してつき,葉柄は10~15cm,先端に4枚の小葉をつける。小葉は四分子円,ほぼ全縁で,幅1~2cm,葉脈はまばらな網目状。葉柄基部近くから出た短い枝に,1~3個の有柄で堅い豆状の胞子囊果がつく。胞子囊果は長さ4~5mm,淡褐色の毛があり,その中に薄い包膜で包まれた胞子囊群がある。胞子は異型。葉は夜,休眠する。北海道から琉球まで広く産し,ユーラシア,北アメリカに広く分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ
でんじそう / 田字草
pepper-wort
water-clover
[学] Marsilea quadrifolia L.

デンジソウ科の夏緑性水生シダ。根茎は泥中を長くはう。葉は、扇形の小葉が四枚田の字形につき、四つ葉のクローバーに似る。水中胞子嚢(のう)果をつくり、大胞子小胞子が形成される。かつては北海道から沖縄県まで各地の水田や沼に広く分布していたが、稲作の有害雑草とみなされて現在は激減した。アジアやヨーロッパの暖温帯にみられるが、北アメリカにもヨーロッパから帰化したものが分布している。中国では、毒蛇咬傷(こうしょう)にも効く清熱解毒作用の薬草とされる。また、オーストラリア先住民は、以前はこの類の嚢果を粉状にして食べていた。国によっては家畜飼料とされる。

[栗田子郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ(田子草)
デンジソウ
Marsilea quadrifolia; clover fern

デンジソウ科の夏緑性シダ植物。水田や沼などの泥地に生える。根茎は泥中を長くはい不規則に分枝し,細い根が節から伸びる。葉は4枚の小葉が葉柄の先端につく。葉柄は長く伸び,葉面は水面に浮び,また,しばしば空中に出ることもある。暖地では常緑性であるが,日本では葉は秋に枯れる。葉柄の基部に1~3個の豆粒状で硬い胞子嚢果をつける。胞子はいずれも四面体型。小葉の並んだ状態が田という字に似ているのでデンジソウの名がつけられた。

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百科事典マイペディア 「デンジソウ」の意味・わかりやすい解説

デンジソウ

デンジソウ科の夏緑性水生シダ。本州〜九州に分布し,池,沼,水田などにはえる。地下茎は泥中を長く走り,葉は高さ7〜20cmの葉柄をもち,小葉は4枚で四ツ葉のクローバーを思わせる(名は田の字状の4小葉にちなむ)。葉柄の下部は分枝して小さい豆形の胞子嚢果をつける。

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