トモエソウ(読み)ともえそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トモエソウ」の意味・わかりやすい解説

トモエソウ
ともえそう / 巴草
[学] Hypericum ascyron L.

オトギリソウ科(APG分類:オトギリソウ科)の多年草。茎は稜(りょう)があり、直立して分枝し、高さ0.5~1メートル。葉は披針(ひしん)形で長さ5~10センチメートル、先はとがり、明点がある。夏、黄色で径約5センチメートルの一日花を頂生する。雄しべは多数で、5本の束にまとまる。花柱は長さ約8ミリメートル、下方は癒合し、上部は5裂する。蒴果(さくか)は卵球形で、大きい。日本全土の山の草地に生え、朝鮮半島、中国、シベリアなどに分布する。名は、花弁が巴(ともえ)状に並ぶことに基づく。

[杉山明子 2020年7月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トモエソウ」の意味・わかりやすい解説

トモエソウ(巴草)
トモエソウ
Hypericum ascyron; giant St.John's-wort

オトギリソウ科の多年草。北半球温帯に広い分布をもち,日本では北海道と本州山地日当りのよい草地に生える。茎は直立し,高さ 60~90cm,上部は緑色で下部は淡褐色。葉は対生し,葉柄はなく披針形で,透かして見ると明るい油点が散在する。7~8月に,枝先に大きな黄色い5弁花をつける。花弁はゆがんだ形をして,巴状にねじれていることからこの名がついた。多数あるおしべは根もとで癒合して5つの束に分れる。花後,卵球形の 蒴果を結び,熟すると5枚の殻に裂開し多数の細かい種子を出す。

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