トール石(読み)トールセキ(その他表記)thorite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トール石」の意味・わかりやすい解説

トール石
とーるせき
thorite

ネソ珪(けい)酸塩鉱物の一つ。正方錐(すい)状ないし錐をもつ正方柱状結晶をなすほか、塊状あるいは分解したものでは土状を呈する。放射能によってメタミクト(非晶質)化していることもある。花崗(かこう)岩質ペグマタイトスカルン、熱水鉱脈中に産する。また漂砂鉱床中にもみいだされる。主産地はノルウェー、アメリカ、カナダマダガスカルスリランカで、日本では微細なものが花崗岩質ペグマタイト中に少量産する。英名は、トリウムを含むことから命名された。

松原 聰]


トール石(データノート)
とーるせきでーたのーと

トール石
 英名    thorite
 化学式   ThSiO4
 少量成分  H2O,U
 結晶系   正方
 硬度    4.5*~5
 比重    4.1**~6.7
 色     橙黄~褐
 光沢    ガラス脂肪
 条痕    淡褐
 劈開    二方向に明瞭であるがメタミクトし
       たものでは見られない
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   *メタミクト化しているものは硬度
       が低くなる
       **水を含むものは比重が小さくなる

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最新 地学事典 「トール石」の解説

トールせき
トール石

thorite

化学組成ThSiO4の鉱物。正方晶系,空間群I41/amd, 格子定数a0.7132nm, c0.6322, 単位格子中4分子含む。ふつう短柱状結晶,腎臓状集合。黄~黄褐~暗褐~緑色,半透明~不透明,ガラス~脂肪光沢。劈開{100}に明瞭,しかしメタミクト化したものでは劈開なし。硬度~4.5, 比重6.63(メタミクト化し,水を含むものは4.1程度まで下がる)。薄片では褐または緑色,屈折率ω1.818~1.825, ε1.839~1.840, 一軸性正。メタミクト化したものでは光学的等方性,n1.664~1.87。ハットナイトと同質異像。Thの一部がUで置換されることが多い。ペグマタイト,スカルン,熱水鉱脈中にジルコン・褐れん石などに伴って広く産する。閃長岩の造岩鉱物として含まれることも多い。漂砂鉱床中にもしばしばみられる。名称は主成分のトリウムから命名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトール石の言及

【希元素鉱物】より

…IIA族ではベリリウムの鉱物で緑柱石Be3Al2Si6O18等。IIIA族では希土類元素の鉱物でモナザイトCePO4(Ceは軽希土類元素),ゼノタイムYPO4(Yはイットリウムおよび重希土類元素),アクチノイド元素の鉱物でトール石thorite ThSiO4センウラン鉱UO2等。IVA族ではジルコニウム,ハフニウムの鉱物でジルコンZrSiO4,ハフノンhafnon HfSiO4等。…

※「トール石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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