日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドン・ボスコ」の意味・わかりやすい解説
ドン・ボスコ
どんぼすこ
Don Giovanni Bosco
(1815―1888)
イタリアのカトリック司祭。サレジオ会の創立者で、聖人。北イタリアの貧しい農家に生まれ、司祭となり、貧しい家庭の少年少女のために一生涯を捧(ささ)げた。彼の教育法は、先生と生徒との間の親密な信頼関係を軸として、強制と体刑を排除し、悪への機会を与えないように配慮するものであった。先生は生徒と生活や作業やレクリエーションをともにし、身をもって教え、感化した。告解(こっかい)や聖体拝領、教理教育や慈父的指導が彼の教育の主柱であった。貧困児童や青少年の教育、ことに職業教育のために、徒弟学校、工業学校、日曜学校、夜間学校をたて、社会福祉事業の先駆者的な働きをなした。志を同じくする教え子を集めてサレジオ会という修道会をつくり、また聖女マリア・マッツァレロMaria Domenica Mazzarello(1837―1881)と協力して、女子の修道会「キリスト信者の扶助なるマリア童貞会」を設立した。
[門脇佳吉 2017年11月17日]