ドーマー(読み)どーまー(英語表記)Evsey David Domar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドーマー」の意味・わかりやすい解説

ドーマー
どーまー
Evsey David Domar
(1914―1997)

イギリスのR・ハロッドと並んで、現代の経済成長理論の先駆的業績をあげたアメリカの経済学者。ポーランド生まれの白系ロシア人で、アメリカに移り、カリフォルニア大学を卒業、ミシガン、ハーバード両大学の大学院で学んだ。カーネギー工科大学、ジョンズ・ホプキンズ大学などに勤務したのち、1958年以降はマサチューセッツ工科大学教授を務めた。

 彼は1946年の論文で新しい成長理論を提唱し、戦後の多彩な成長理論の展開の発端をつくった。それは、投資が所得を生み出す効果(所得造出効果)をもつのみでなく、生産能力を増大させる効果(生産力創出効果)ももつことを指摘し、両効果が調和する条件を求め、資本設備の完全利用を持続的に保証する均衡成長の条件を理論化したものであり、続いて48年に出たハロッドの『動態経済学序説』とともに、ハロッド‐ドーマー・モデルとして著名である。

[佐藤豊三郎]

『E・D・ドーマー著、宇野健吾訳『経済成長の理論』(1959・東洋経済新報社)』『R. F. HarrodDomar and Dynamic Economics(Economic Journal, June, 1960)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドーマー」の意味・わかりやすい解説

ドーマー
Domar, Evsey David

[生]1914.4.16. ウッチ
[没]1997.4.1. マサチューセッツ,コンコード
ポーランド生まれのアメリカの経済学者。カリフォルニア,ミシガン,ハーバード各大学に学び,カーネギー工科大学,ジョンズ・ホプキンズ大学を経て,1958年マサチューセッツ工科大学教授。ハロッド=ドーマー型モデルの名で知られる現代経済成長理論の先駆的定式化を (R.ハロッドとは独立に) 行なった (→経済成長論 ) 。またこの成長理論を用いた旧ソ連経済の分析でも多くの貢献をした。主著『経済成長の理論』 Essays in Theory of Economic Growth (1957) 。

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