ナトゥフ文化(読み)ナトゥフぶんか(英語表記)Natufian culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナトゥフ文化」の意味・わかりやすい解説

ナトゥフ文化
ナトゥフぶんか
Natufian culture

パレスチナの中石器文化。主としてイスラエルシリアの地中海沿岸とヨルダン渓谷に分布するが,近年の調査により,南部の砂漠地帯やユーフラテス川周辺にまで広がっていたことが確認されている。 1928年イギリスの考古学者 D.ギャロッドがエルサレム北西方のワディ・エ・ナトゥフ河谷のシュクバ洞窟を調査し,そこで発見した細石器を中心とする中石器文化をナトゥフ文化と命名した。この時代には,洞窟のほか竪穴住居に住み,狩猟漁労が行われ,農耕以前の野生穀物依存の生活が営まれていたと推測されている。発見された鎌の刃から草の繊維がみられるため,すでに農耕が始っていたとする説もあるが,疑問視されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android