石皿(読み)いしざら

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

石皿
いしざら

調理具の一つで,おもに穀物木の実などをすりつぶすのに用いられた。中央部がすり減ってへこんでいるので,日本では石と呼称している。その使用は古く,西アジア,北アフリカなどでは旧石器時代までさかのぼり,新石器時代になると農耕民や狩猟採集民たちの間で広く使われた。石皿の発達した形態である鞍形石臼 saddle quernは,ムギの製粉具として,ユーラシア大陸西部で広く長く用いられている。日本では縄文時代に木の実や根茎類を砕いたり,粉末にするのに用いられ,平面が楕円形を呈するものが多く,すり石とともに使われた。

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デジタル大辞泉の解説

いし‐ざら【石皿】

皿形の石器。安山岩などでつくり、長さ20~40センチの円形・楕円形のものが多い。木の実や穀物などをすりつぶすのに使った。日本では縄文時代に多くみられる。
江戸時代、街道茶屋で煮しめを盛るのに用いられた磁器製の安物の皿。

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世界大百科事典 第2版の解説

いしざら【石皿 stone quern】

調整や使用によって平滑になった面をもつ扁平な磨製石器。石臼との区別はあいまいである。磨石(すりいし)や石杵などを用い,粒状もしくは塊状の物質をたたいたり,押しつぶしたり,磨ったりして粉状にする道具。使用の対象になった物質は,穀物や木の実などの植物質食料のほか,動物の肉や脂肪,酸化鉄辰砂などの鉱物質顔料と多様である。形態では,縁がなく扁平で前後の高い鞍形石皿(サドル・カーンsaddle quern),中央が浅くくぼんだり縁のある石皿,中央のくぼみが深い乳鉢形石皿(ストーン・モルタルstone mortar)との3種類に大別できる。

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大辞林 第三版の解説

いしざら【石皿】

中央がへこんだ皿形の縄文時代の石器。果実・穀類などをすりつぶして粉にするために用いた。 → り石
江戸時代、街道茶屋で煮しめ皿として用いられていた陶器または炻器せつきの皿。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

石皿
いしざら

安山岩や石英粗面岩など表面の粗い扁平(へんぺい)な大形礫(れき)の中央部に凹状のくぼみをつけた石器。平面形が楕円(だえん)で皿状であるところから命名された。縄文時代に特徴的な石器である。早期の石皿は扁平で中央がややくぼんだ小形のものが多い。中期になると平面形が整い縁の一端が開口するものが出現する。後期、晩期では脚付きや中央にまな板状の台が付属する例がみられる。用途は、磨石(すりいし)とセットになって植物性食料(堅果類など)を破砕、粉化するのに使用された調理用具と考えられる。また、中央の凹部に酸化鉄が付着している例もあり、調理以外の用途に使用されていた可能性も考えられる。分布は東日本に多く、とくに縄文中期に著しい。[戸沢充則]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いし‐ざら【石皿】

〘名〙
① 縄文時代に用いられた石器の一つ。安山岩、花崗(かこう)岩などを長方形または楕円形の扁平な形にして、中央を皿状にくぼめたもの。物をすりつぶしたり、ひいたりするのに用いたとされる。
② 江戸時代、街道茶屋などで煮しめを盛るのに用いた磁器製の安物の皿。主に濃尾地方産を用いた。また、磁器を石焼きということから、磁製の皿の通称とする場合もある。
浮世草子・好色二代男(1684)四「丸盆にふたつ盃、石皿(イシサラ)に小鮹魚(するめ)さき入て」

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