ナーブルス(その他表記)Nāblus

デジタル大辞泉 「ナーブルス」の意味・読み・例文・類語

ナーブルス(Nablus)

パレスチナ地方の都市エルサレムの北西約50キロメートルに位置する。イスラエル北王朝の最初の首都シェケム(シケム)が置かれた。現名称は古代ローマ時代の名称フラウィアネアポリスに由来する。第二次大戦後はヨルダン領だったが、第三次中東戦争以降イスラエル領となり、1995年にパレスチナ自治政府の統治下となった。ナブルス。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ナーブルス」の意味・わかりやすい解説

ナーブルス
Nāblus

パレスティナヨルダン川西岸地区の都市。人口13万0326(2005)。町の起源は,カナン人の町シケムにさかのぼることができる。10~13世紀のムスリムの地理書には,パレスティナの水利に恵まれた町として記されている。1948年以後ヨルダン領となるが,67年の第3次中東戦争後はイスラエルに占領された。95年に自治拡大協定が結ばれ,パレスティナ自治政府による自治が始まった。オリーブ栽培の中心地で,オリーブ油セッケンマッチなどの生産が行われている。付近にはヨセフの墓,ヤコブ井戸がある。エルサレムと主要道路で結ばれている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナーブルス」の意味・わかりやすい解説

ナーブルス
Nābulus

中部パレスチナ,ヨルダン川西岸の都市。エルサレムの北約 50kmの肥沃渓谷に位置する。 1950年からヨルダン領で,ナーブルス県の県都であったが,67年以降イスラエルの占領下にある。小高い丘の中腹にある新市街は高級住宅街,その下手の旧市街には市場,モスク,役所などがある。旧約聖書のシケムの遺跡は,町に東接し,前 1900年頃から居住者のあったことが知られている。現在の町は西暦 72年ローマ皇帝の保護下に建てられ,ネアポリスと呼ばれた。現名はその転化である。伝説によれば,付近にヤコブの井戸とヨセフの墓がある。人口 10万 6944 (1987推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ナーブルス」の意味・わかりやすい解説

ナーブルス

パレスティナの〈ヨルダン川西岸地区〉の都市。エルサレムの北西約50km,パレスティナ中部山地にある。古くネアポリスと呼ばれ,都市の位置する渓谷は水も豊富で農業に適している。1948年ヨルダン領となるが,第3次中東戦争でイスラエルに占領された。13万人(2005)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のナーブルスの言及

【エルサレム】より

…人口59万1000(1996,イスラエルの統計,東エルサレムを含む)。
[位置と景観]
 地中海とヨルダン地溝帯とにはさまれた形で南北につらなる山地(その北半をナーブルス山地またはベート・エルBeth‐El山地,南半をハリールKhalīl山地またはヘブロン山地と呼ぶ)の中央部分(ユデヤ丘陵ともいう)にあたる岩尾根の上に位置する。尾根づたいに北から南にかけて,ナーブルス(シケム),ラーマッラーRām Allāh,エルサレム,ベツレヘム,ヘブロンという都市が並んでいるが,この南北をつなぐ街道と交差する形で,地中海岸と死海の谷とを東西に結ぶ道がエルサレムで山越えするようになっているので,古来エルサレムは交通の十字路,パレスティナの枢軸の地位を占めてきた。…

【パレスティナ】より

… あたかも背骨のように中央を南北に貫く形で,標高500~1000m級の石灰岩質の丘陵が連なっている。背骨の南半はユデアJudea山地(ハリール山地al‐Khalīl Jibāl),北半はサマリア山地(ナーブルス山地Jibāl Nābulus)と呼ばれる。これら一連の山地の西側の裾は地中海にかけて幅の狭い帯状の平野をなし,東側は山地と平行するヨルダン地溝帯(死海湖岸は標高約-400m)に向かって深く落ち込んでいる。…

※「ナーブルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android