ニーレンバーグ(読み)にーれんばーぐ(英語表記)Marshall Warren Nirenberg

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニーレンバーグ」の意味・わかりやすい解説

ニーレンバーグ
にーれんばーぐ
Marshall Warren Nirenberg
(1927―2010)

アメリカの分子生物学者。ミシガン大学学位を取得。NIH(National Institutes of Healthアメリカ国立衛生研究所)に勤務する。マタイJ. H. Matthaei(1929―)とともに無細胞系をつくり、タンパク質合成の研究を始める。1961年、この系で人工RNA(リボ核酸)であるウリジル酸(ポリU)を鋳型として用いたところ、1種類のアミノ酸フェニルアラニンからなる人工ポリペプチドが得られた。三つ組みの塩基が一つのアミノ酸に対応していることは示唆されていたが、それが実証されたのはこれが初めてである。残る19のアミノ酸に対する暗号の解読をめぐり、1964年、三つの塩基による短い人工RNAを用いる方法を開発したニーレンバーグと、この謎(なぞ)解きに参入したオチョアとの間に激しい競争が展開された。この競争にコラーナも加わり、1967年には20種類のアミノ酸に対応する塩基の組合せ(遺伝暗号の単位=コドン)はすべて解読された。1968年、コラーナ、ホリーとともに、「遺伝情報の解読とタンパク質合成におけるその機能の解明」によりノーベル医学生理学賞を授与された。

[石館三枝子]

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