日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネコひっかき病」の意味・わかりやすい解説
ネコひっかき病
ねこひっかきびょう
ネコにひっかかれたり、かまれたりして数日後に発症する感染症で、ネコは発症せず媒介するだけである。原因はウイルスとされているが、病原体はまだ分離されていない。日本には少ないが、世界的に蔓延(まんえん)している。咬傷(こうしょう)などを受けた部位に赤紫色の発疹(ほっしん)ができ、炎症症状がみられ、1~3週後に所属リンパ節の腫脹(しゅちょう)をおこす。全身症状として悪寒や発熱などを伴うことが多い。リンパ節炎は潰瘍(かいよう)や化膿(かのう)をおこし、この状態が2~6週間続くと腫(は)れたリンパ節が破れて膿(うみ)を出し、熱も下がって自然治癒する。
治療としてはテトラサイクリンが有効で、初期なら化膿を防止して病期の短縮に役だつ。なお、必要に応じて腫大したリンパ節の切除も行われる。
[柳下徳雄]