日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノグルミ」の意味・わかりやすい解説
ノグルミ
のぐるみ / 野胡桃
[学] Platycarya strobilacea Sieb. et Zucc.
クルミ科(APG分類:クルミ科)の落葉高木。葉は奇数羽状複葉。小葉は7~15枚、縁(へり)に深く切れ込む鋸歯(きょし)があり、裏面の葉脈に褐色の毛が生える。花期は6~7月。花穂はオニグルミ、サワグルミと違って若枝の先に直立し、中央の花穂は雌花、周辺の花穂は雄花からなる。花は花被(かひ)はなく、1枚の包葉と2枚の小包葉があり、雄花は雄しべが6~10本、雌花は1個の子房がある。果実は小形の堅果で、倒三角形状、長さ約5ミリメートル、翼があり、10月に成熟する。同じく有翼の小堅果をつけるサワグルミに比べ、小形で翼の幅が狭い。日当りのよい山地に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国、台湾、ベトナムに分布する。幹や根の皮は革なめしに、果実は「花果児」といって染料にする。枝葉には有毒成分を含むという。
[伊藤浩司 2020年2月17日]