ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハインリヒ1世」の意味・わかりやすい解説
ハインリヒ1世
ハインリヒいっせい
Heinrich I
[没]936.7.2. メムレーベン
ドイツ王 (在位 919~936) 。ザクセン朝の始祖。ドイツにおけるカロリング朝が絶え,フランケン家のコンラート1世の過渡的王権が生れた頃のザクセン部族公で,当時の最有力諸侯の一人であった。チューリンゲンの領土をめぐってコンラート1世と常に対立していたがやがて和解し,その指名により 919年ドイツ王に選出された。彼は初代の神聖ローマ皇帝オットー1世 (大帝) の父であり,ドイツ王権の基礎をすえたものといってよい。即位当初,彼を国王として認めようとしないシュワーベンおよびバイエルンと戦ってこれを屈伏させ,また西方ではロートリンゲン回復のための戦いを2度にわたって起し,ついに目的を達成。他方,東方においてはマジャール人の侵入を押えるため,これを懐柔するとともに城塞を構築して防衛を固めた。また北東方ではスラブ人征服にも乗出し,928年のちのブランデンブルクであるブレンナボルを征服したが,これはのちのドイツ東部植民の発端とし重要な意義がある。
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