ハコネウツギ(読み)はこねうつぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハコネウツギ」の意味・わかりやすい解説

ハコネウツギ
はこねうつぎ / 箱根空木
[学] Weigela coraeensis Thunb.

スイカズラ科(APG分類:スイカズラ科)の落葉低木。高さ約4メートル、全体にほとんど毛はない。葉は対生し、楕円(だえん)形で長さ6~16センチメートル、質はやや厚く、表面は光沢がある。5~6月、葉腋(ようえき)から短い枝を出し、長さ3センチメートルの花を1~3個ずつ開く。花冠は漏斗(ろうと)状で先端は5裂し、初め白色でのちに紅色になる。最後まで白色のシロバナハコネウツギや、初めから紅色のベニバナハコネウツギなどの品種もある。花冠の基部に棍棒(こんぼう)状の小さな蜜腺(みつせん)がある。萼片(がくへん)は5枚で線状。子房下位で円柱状、多数の胚珠(はいしゅ)が4列につく。果実は円柱形、種子は狭い翼がある。本州太平洋側の海岸近くに自生するが、海岸の防風林として北海道南部から九州に植えられている。花を観賞するために庭木とする。

[福岡誠行 2021年12月14日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハコネウツギ」の意味・わかりやすい解説

ハコネウツギ(箱根空木)
ハコネウツギ
Weigela coraeensis

スイカズラ科の落葉低木。北海道南部以南の日本各地の海岸の近くに生え,観賞用としてよく庭園に植えられる。全体にほとんど無毛,新しい枝は緑色であるが古くなると灰褐色で太くなり,樹皮がふぞろいに縦に裂ける。葉は対生し,長さ6~12cmの広楕円形ないし倒卵形で質はやや厚く,上面に光沢がありほとんど無毛,脈に沿ったところのみ毛を散生する。初夏に,新しい枝の先端や葉腋から短い柄を出し,長さ3~4cmの鐘状漏斗形の花を1~3個ずつつけ,花冠は上部で急に太くなる。花色は初め白色でのちに紅色に変る。果実は円柱形の 蒴果となる。近縁種タニウツギニシキウツギは,山地に生育する。ハコネウツギの名はあるが本種は箱根にはなく,誤認によるものである。

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