タニウツギ(読み)たにうつぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タニウツギ」の意味・わかりやすい解説

タニウツギ
たにうつぎ / 谷空木
[学] Weigela hortensis (Sieb. et Zucc.) Koch

スイカズラ科(APG分類:スイカズラ科)の落葉低木。高さ2~5メートル。全体に白っぽい毛が多く、葉裏は白くみえ、花は桃色であることにより、ニシキウツギなど近縁種と区別できる。花期は5月。平地から2000メートルくらいの山地まで生え、本州、北海道の主として日本海側の山地に多く自生する。名は、谷間に多い空木(うつぎ)の意味である。花を観賞するため庭木とするが、水揚げが悪く、切り花にしてもすぐしおれる。

 タニウツギ属は日本および朝鮮半島、中国に約10種分布するが、主として日本で種の分化がおこった属で、日本に7種ある。花が美しいため、日本産の種も外国で栽培されている。一般に酸性土壌でよく育ち、火山の向陽地に多い。

[福岡誠行 2021年12月14日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タニウツギ」の意味・わかりやすい解説

タニウツギ(谷空木)
タニウツギ
Weigela hortensis

スイカズラ科の落葉低木で,北海道と本州の日本海側斜面の山地に生える。庭園でもしばしば観賞用として栽培される。葉は卵形ないし長楕円形で,若葉のときには疎毛をもつがのちに無毛となる。初夏に,小枝先端および葉腋集散花序をなして長さ3~4cmの筒状漏斗形の紅色の花をつける。本種の変種であるベニウツギ W. hortensis var. spontaneaは,花序が密につき,花色,特につぼみのときの色が濃い。観賞用として庭園などに栽植される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android