ハタザオ(読み)はたざお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハタザオ」の意味・わかりやすい解説

ハタザオ
はたざお / 旗竿
[学] Turritis glabra L.
Arabis glabra (L.) Bernh.

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の越年草。全草粉白を帯び、上部は毛がない。茎は高さ0.7~1メートル、ときに分枝する。根際の葉は倒披針(とうひしん)形、茎葉は無柄で互生し、狭卵形で全縁、基部は矢じり形で茎を抱く。4~6月、細長い総状花序をつくり、黄白色を帯びた4弁花を開く。長核果は長さ4~7センチメートル、花序軸沿いに直立し、種子は長さ0.8ミリメートル、2列に並ぶ。北半球温帯から暖帯に広く分布する。名は、直立する花茎を旗竿(はたざお)に見立てていう。

 ハタザオ属は世界に約120種、日本に10種分布するが、そのうち種子が2列に並び、花が黄白色の一群(世界に3種、日本に1種)を狭義のハタザオ属Turritisとして分けることがあり、現在はそちらの分類が主流となっている。

[小林純子 2020年11月13日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハタザオ」の意味・わかりやすい解説

ハタザオ(旗竿)
ハタザオ
Arabis glabra; tower mustard

アブラナ科の越年草。北半球の温帯から暖帯にかけて,広く分布する。日本各地の山野日当りのよいところや海岸の砂地に生える。主根は白色で細長く,地中にまっすぐに入る。茎は1本だけが竿のように直立し,下部だけに毛が生え,通常分枝しない。根出葉は倒披針形でロゼット状に広がり,下部の茎葉とともに両面とも叉状毛と星状毛をもつ。上部の茎葉は披針形で無毛,基部は鏃 (やじり) 形となり茎を抱く。初夏茎頂に細長い総状花序をなして,帯黄白色で小型の十字花を多数つける。果実は長さ4~5cmもある細長い長角果で,熟すると果皮が2つに裂け,種子を放出する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android