バヤン(その他表記)Bayan

デジタル大辞泉 「バヤン」の意味・読み・例文・類語

バヤン(〈ロシア〉bayan)

ロシア独特のボタン式鍵盤けんばんによる大型アコーディオン。バラライカとともに大衆的合唱舞踊には欠かすことのできない楽器

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改訂新版 世界大百科事典 「バヤン」の意味・わかりやすい解説

バヤン (伯顔
)
Bayan
生没年:1246-94

中国,元代初期の勲臣。バーリン部の人。イランのフレグ家から宗主フビライ(世祖)のもとに使して見いだされた。1274年(至元11)南宋征服軍の総司令官となり,76年南宋の首都臨安を無血開城させた。翌年カラコルムに派遣され,トゥルイ家諸王の反乱軍を撃破し,87年にはハイドゥを撃退して,モンゴル高原確保に貢献した。有能のゆえに一時更迭もされたが,フビライ没後は皇太孫テムル(成宗)を擁立した。
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バヤン (伯顔
)
Bayan

中国,元代中・末期権臣生没年不詳。メルキト部の人。ハイシャンに従って対ハイドゥ戦に活躍,1307年(大徳11)帝位を継いだハイシャン(武宗)とともに中央政界に入った。以後要職歴任,1328年(至和1)泰定帝が上都で没すると,キプチャク軍団長エル・テムルとむすんで大都(北京)で反乱をおこし,武宗系の帝位回復に成功した。エル・テムル死後は,かわって独裁的権力を握ったが,実権奪回をはかる順帝に計られ失脚し自殺した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バヤン」の意味・わかりやすい解説

バヤン(伯顔)[元初]
バヤン[げんしょ]
Bayan

[生]モンゴル,太宗8(1236)
[没]至元31(1294)
中国,元初の功臣。モンゴルのバーリン (八隣) 部の人。父シャオクタイ (暁古台) がフラグ (旭烈兀)西征に従ったので西域で成長。元初,世祖フビライ・ハンに見出されて至元2 (1265) 年中書左丞相となり,襄陽が陥落し南宋征討が大詰めを迎えた同 11年再び中書左丞相に親任され,南宋征討総司令官として水陸両軍を率いて出陣。鄂 (がく) 州を抜き,翌年丁家州で南宋主力軍を率いる賈似道 (かじどう) を大破,同 13年宋都臨安を攻略して南宋を事実上滅亡させた。

バヤン(伯顔)[元末]
バヤン[げんまつ]

中国,元末の権臣。メルキト部の人。文宗擁立の功で要職を得,権臣エル・テムル (燕鉄木児)没後,順帝のもとで中書右丞相となり,元統3 (1335) 年謀反を企てたエル・テムルの2子を殺し,以来専権をふるったが,勝手に宣譲王と威順王の位を下げるにいたって順帝の怒りを買い,トクトア (脱脱)の計によって至元6 (40) 年河南行省左丞相に左遷され,のち服毒自殺した。科挙廃止をはじめ,最も数の多い張,王,劉,李,趙の5姓の漢人殺害を企図するなど,漢人,漢文化を徹底的に排撃したことでも著名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バヤン」の意味・わかりやすい解説

バヤン(中国、元朝末の宰相)
ばやん / 伯顔
Bayan

生没年不明。中国、元朝末の宰相。出自はメルキトで名族ではなかったが、仕えていた武宗が即位、その後、文宗、順帝の即位に功をあげ、ついには破格の秦(しん)王号と大丞相(たいじょうしょう)位を受けた。しかし1340年、専権をほしいままにしたという擅断(せんだん)の科(とが)で失脚し、河南へ左遷され、さらに広東(カントン)へ移される途中南昌(なんしょう)で死去した。

[松田孝一]


バヤン(中国、元朝の功臣)
ばやん / 伯顔
Bayan
(1236―1294)

中国、元朝の功臣。曽祖(そうそ)以来チンギス・ハンに仕えたバリン部族の出身。イランで成長後、元朝に至り、官途についた。1274年、100余万軍を率いて南宋(なんそう)を攻め、76年首都臨安(杭州(こうしゅう))を征した。77年モンゴリアでシレギの乱を討ち、94年成宗の即位を後援し、死後、淮安(わいあん)王に封じられた。

[松田孝一]

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世界大百科事典(旧版)内のバヤンの言及

【水運】より

…しかし南宋以来の長い混乱期に運河は荒廃し,沿線の治安も悪く,安定した漕運を維持できなくなっていた。南宋を滅ぼした元の宰相バヤン(伯顔)は,当時発達してきた航海技術を用いて海路を漕運に用いることを考え,1282年(至元19)とくに平底の船(のちの沙船,すなわちジャンク)を造らせて糧米を北方へ運んだ。時期により若干の変更はあるものの,そのルートは長江デルタを横断して海へ出,沿岸を北上し,山東半島を迂回して直沽(天津)へ至るものであった。…

※「バヤン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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