日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルトリン腺」の意味・わかりやすい解説
バルトリン腺
ばるとりんせん
腟前庭(ちつぜんてい)で腟入口の左右にあるサクランボ大の分泌腺。その導管は2センチメートルくらいの長さで、小陰唇の内側で処女膜の直前に開口している。性的興奮時に腺を囲む球海綿体筋の収縮によって無色透明の粘液を分泌し、これが性交の潤滑液の役目をする。バルトリン腺炎はこの導管部から細菌が感染しておこる炎症で、進行するとこの導管が閉塞(へいそく)して腺腔(せんくう)内部に膿(のう)が貯留し、バルトリン腺膿瘍(のうよう)が形成される。腟入口の左右のいずれか一側に球状の腫脹(しゅちょう)を触れ、その部に圧痛がある。歩行、起坐(きざ)、排尿、排便時に激しい痛みを感ずるようになる。抗生物質の服用によって軽快しない場合には、切開排膿あるいは手術によって腫瘤(しゅりゅう)全体を摘出する必要がある。
[新井正夫]