バークシャー(読み)ばーくしゃー(英語表記)Berkshire

翻訳|Berkshire

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バークシャー」の意味・わかりやすい解説

バークシャー(イギリス)
ばーくしゃー
Berkshire

イギリス、イングランド南部にあったカウンティ(県)。県都はレディングであった。1998年に六つのユニタリー・オーソリティー(一層制地方自治体)に再編され、バークシャー県は廃止された。新設のユニタリー・オーソリティーは、ブラックネル・フォレスト(面積109平方キロメートル、人口10万9606)、レディング(面積40平方キロメートル、人口14万3124)、スロウ(面積27平方キロメートル、人口11万9070)、ウェスト・バークシャー(面積704平方キロメートル、人口14万4445)、ウィンザー・アンド・メイデンヘッド(面積198平方キロメートル、人口13万3606)、ウォーキンガム(面積179平方キロメートル、人口15万0257)となっている(数値は2001年)。旧バークシャー県は、首都ロンドン西郊にあり、東部の白亜紀層の丘陵バークシャー・ダウンズBerkshire Downsと、西部のテムズ川右岸の沖積低地からなり、大消費地ロンドンを控えた農業県で、穀作、園芸農業、果樹栽培、酪農、養豚、養鶏などが盛んであった。バークシャー種ブタの原産地。三つの農業試験場とレディング大学が農業技術の教育・研究機関となっていた。工業は第二次世界大戦前からの農業機械のほか、食品、醸造製紙などの軽工業が中心で、戦後ハーウェルに原子力発電所、オールダーマストンに原子力研究・兵器施設ができた。

 先史時代から定住者があり、西部の低地はローマ人の進出ルートとなった。アングロ・サクソン時代にはマーシア王国、ついでウェセックス王国に属した。17世紀のピューリタン革命イギリス革命)中は、東部のニューベリーが戦場となった。イギリス王室の離宮ウィンザー城や有名なパブリック・スクールのイートン校が県域内にあった。

[久保田武]


バークシャー(動物)
ばーくしゃー
Berkshire

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目イノシシ科の動物。家畜ブタの黒色品種で、イングランド南部のバークシャーとウィルトシャー原産である。この地方の在来種に中国種などの外来種を交配して、19世紀にイギリスで作出され、成立した。体型は比較的小形で、短頭、しゃくれ顔、肢端・鼻端・尾端が白い、いわゆる黒色六白を特徴とし、四肢は短くて強い。早熟早肥で体質は強健といわれ、産子数は約8~9頭である。粗飼に耐え、筋繊維は繊細で柔らかく、赤みの強い肉を産するので、第二次世界大戦前から鹿児島、静岡県地方で飼われていたが、ヨークシャーランドレースの進出で、その飼育頭数は著しく減少した。しかし、最近その優れた肉質が再評価され、高値で取引されるので、薩摩(さつま)の黒豚などと称して、復活の兆しがみられる。

[西田恂子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バークシャー」の意味・わかりやすい解説

バークシャー
Berkshire

イギリスイングランド南部の旧県名。1974年の自治体再編により,それまでのバークシャー県の北西部がオックスフォードシャー県へ分離され,バッキンガムシャー県の一部が編入された。1998年に行政機能が廃止され,ウィンザー・メードンヘッドウェストバークシャーウォーキンガムスラウブラックネルフォレストレディングの 6単一自治体(ユニタリー unitary authority)に分割された。

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