トルコおよびエジプトなどオスマン帝国の支配下に置かれた地域で使われた称号。語源については,ペルシア語の〈パーディシャー(支配者)〉,トルコ語の〈バシュ・アガ(兄)〉などに由来するという説があるが定説はない。13世紀前半ころから使われ始め,ルーム・セルジューク朝やトルコ系諸侯国で,軍事的・宗教的指導者の称号として与えられた。オスマン朝では,主として,ベイレルベイ(州軍政官),首都のワジール(大臣)その他の少数の高官に与えられた称号であったが,時代が下るにつれてこの称号が与えられる範囲は拡大した。オスマン帝国の消滅とともにこの称号は失われたが,共和国時代に将軍クラスの高級軍人に対して,1934年までこの称号が許され,以後全廃された。現在,トルコ人民衆の口語として,食堂のボーイや職人に対する呼びかけの言葉としてしばしば使われている。
執筆者:永田 雄三
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トルコで高官に使用される尊称。語源的には王を意味するペルシア語のパードシャー(トルコ語のパーディシャー)に由来するともいわれる。本来,高級軍人に対するものであったが,大臣級の職にも用いられた。この称号はオスマン帝国の崩壊以後は廃止された。
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