パニッツィ(読み)ぱにっつぃ(その他表記)Panizzi, Antonio Genesio Maria

図書館情報学用語辞典 第5版 「パニッツィ」の解説

パニッツィ

1797-1879.イタリアモデナ公国生まれ.近代図書館の生みの親,近代目録法の始祖ともいわれる.英国に政治亡命後,1831年大英博物館に採用され,1837年刊本部長,1856年館長となる.1869年バス上級勲爵士(K.C.B.)の称号を与えられる.蔵書目録の改善に取り組み,1841年,91か条からなる成文化された最初の目録規則Rules for the Compilation of the Catalogueを出版した.資料の収集を重視し,納本制度の徹底を図り,国内資料および国外資料の網羅的収集に努めた.また資料の増加に伴って,大規模な円形閲覧室と鉄製書庫建設を実現する等,多くの業績を残した.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「パニッツィ」の意味・わかりやすい解説

パニッツィ
Anthony(Antonio) Panizzi
生没年:1797-1879

文学史家。イタリア,モデナ公国の法律家の家に生まれる。1818年パルマ大学卒業後故郷で弁護士として活躍。専制打倒の秘密運動に加担し,22年逮捕されるが脱獄,専制批判の言論活動に従事する。逃亡中死刑の判決を受けるが23年イギリスに亡命した。31年大英博物館司書となる。文学史家としてすぐれた才能を発揮,M.M.ボイアルドL.アリオストのすぐれた版本を校訂編集した。ホイッグ系のH.P.ブルームやH.J.T.パーマストンら政治家とも親しく,彼らのバックアップを受け,56年大英博物館図書館長となり(1866年まで),閲覧室の改善,目録規則の制定,図書購入費の増額など博物館を文化拡散のセンター,公共サービスの機関と位置づける大改革を行い,現在にいたる基礎を築くとともに世界の図書館経営に大きな影響を与えた。また終生イタリア再統一(リソルジメント)への支援活動を続け,イギリスでの運動支援の世論形成に貢献した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パニッツィ」の意味・わかりやすい解説

パニッツィ
ぱにっつぃ
Sir Antonio Panizzi
(1797―1879)

イギリスの司書官、文学史家。イタリアのモデナ公国に生まれ、政府に対する革命に加わり、1823年イギリスに亡命した。イタリア語を教えて生計をたて、1828年ロンドン大学のイタリア語教授に就任。1831年大英博物館図書館司書補になり、イタリア古典の校訂編集や書誌作成に努めた。その後、図書館の改革に貢献し、1837年印本部の管理者となり、厳格な納本制度の強行や図書購入費の補助金獲得に業績をあげた。1856年第6代館長就任とともに図書館の新築に取り組み、とくにその放射状大閲覧室とギャラリーを利用した鉄製の書庫は有名。在任中、重要な図書の収集を図るなど図書館運営の模範を示した。

[諏訪内敬司]

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世界大百科事典(旧版)内のパニッツィの言及

【恐慌】より

…資本主義的商品経済にしばしばくり返されてきた経済的な攪乱(かくらん),麻痺(まひ),破綻(はたん)状態を指す。原語に2系統あり,そのうち,クライシスはもともとは病気の危機的峠を意味し,パニックはギリシア神話の牧神パンの気まぐれのひきおこす狼狽(ろうばい)を意味していた。それゆえ,パニックは資本主義経済の市場機構に生ずる急性的崩壊現象にあてはまり,クライシスはそれをも含めより構造的な経済危機に妥当する用語であって,恐慌という訳語は,文脈によってその両方の事象を含みうる。…

【パン】より

…彼は山野に美少年やニンフを追いかける好色な神とされ,彼の発明した楽器で常時携えて吹き鳴らすシュリンクスSyrinx(パンパイプとも呼ばれる葦笛)も,かつては彼の追跡を逃れようとして葦に変容した同名のニンフであったという。彼はまた牧人や家畜にえたいのしれない突然の恐怖(英語パニックの語源)を送ることでも知られるが,その原因は彼の昼寝を妨げて怒らせることにあると考えられた。のちにローマ第2代の皇帝ティベリウスの治世に,イオニア海のパクソス島付近でなぎにあった船のタムスという名の舵取りに〈大いなるパンは死せり〉と叫ぶ声があり,これを聞き及んだ皇帝は学者たちに命じてこの神の調査にあたらせた,とプルタルコスが伝えている。…

※「パニッツィ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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