日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリ国立銀行」の意味・わかりやすい解説
パリ国立銀行
ぱりこくりつぎんこう
Banque Nationale de Paris
フランスの大手銀行。2000年にパリバParibasと合併してビー・エヌ・ピー・パリバとなった。
パリ国立銀行は、第二次世界大戦後に国有化されたパリ割引銀行と国立商工銀行が、1966年に合併して誕生した。母体となった二つの銀行は、19世紀なかばに、事業資金供給のためにフランス各地につくられた割引銀行を起源にもつ。ともに、一度は倒産の経験をもつが、前者は預金銀行としてフランス国内を中心に発展してきたのに対し、後者は投資銀行として運営された時期もあって早くから国際展開をしてきたという、対照的な性格をもっていた。1960年代の信用収縮から、フランス政府の要請で合併、当時のフランスで最大の銀行となる。合併後は、豊富な資金量を背景に貿易金融に力を入れるとともに、投資銀行業務や国際業務にも進出していった。とりわけ、ロンドンに拠点を置いてヨーロッパ資本市場を開拓する活動が1980年代から本格化する。しかし、政府の規制によって保護されていたために財務体質はかならずしも強固なものではなかった。1993年に民営化されてから、利益重視の方向に急転回し、2%台だった自己資本利益率が、1998年度には10%を超えるまでになった。1999年2月、フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルとパリバが合併合意を発表。これに対しパリ国立銀行は3行による合併構想を打ち出したが相いれず、パリ国立銀行はソシエテ・ジェネラルとパリバに対して株式公開買付による買収を試み、フランス企業史上、例をみない株式の買収合戦となった。その結果、1999年8月、パリ国立銀行がパリバの株式65%を獲得、2000年5月に合併しビー・エヌ・ピー・パリバとなった。
[小澤一男]