シャクジョウソウ(読み)しゃくじょうそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャクジョウソウ」の意味・わかりやすい解説

シャクジョウソウ
しゃくじょうそう / 錫杖草
[学] Monotropa hypopitys L.

イチヤクソウ科(APG分類:ツツジ科)の多年草。腐生植物で、全体が淡黄褐色を帯び、葉緑素はない。茎は高さ10~20センチメートルで軟毛があり、広披針(こうひしん)形の鱗片葉(りんぺんよう)を互生する。6~7月、茎上部に筒形の花を下向きに開く。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚で内面に毛がある。果実は球形で直立する。名は全体の形を錫杖(しゃくじょう)に見立てたものである。山地帯から亜高山帯の林内に生え、日本全土、およびアジアヨーロッパ北アメリカ温帯から亜寒帯に分布する。シャクジョウソウ属は子房は4~5室、胚珠(はいしゅ)は中軸胎座につき、果実は蒴果(さくか)であり、近縁のギンリョウソウ属とは子房の断面で識別できる。北半球に5種あり、日本に2種分布する。

[高橋秀男 2021年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャクジョウソウ」の意味・わかりやすい解説

シャクジョウソウ(錫杖草)
シャクジョウソウ
Monotropa hypopithys var. japonica; pinesap

イチヤクソウ科の腐生植物。アジア,ヨーロッパ,北アメリカの温帯に広く分布し,日本各地の山地の木陰にも生える。茎は直立し高さ 20cm内外となり,淡黄褐色をしている。鱗片状に退化した,茎と同色の葉が互生する。5~6月頃,茎頂総状花序をつくり数個の花を下向きにつける。花も淡黄色で長鐘形,4枚の肉質の花弁がある。和名花序を錫杖に見立てたものである。

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