ビクーナ(その他表記)vicuna
vicuña[スペイン]
Vicugna vicugna

デジタル大辞泉 「ビクーナ」の意味・読み・例文・類語

ビクーナ(vicuña)

ラクダ科の哺乳類南アメリカアンデス山中の高原にすみ、肩高70~110センチ。毛色赤褐色下面は白く、羊毛状で長く、毛織物に利用される。ビクーニャビキューナビクニア

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改訂新版 世界大百科事典 「ビクーナ」の意味・わかりやすい解説

ビクーナ
vicuna
vicuña[スペイン]
Vicugna vicugna

ビクーニャともいう。ラマに似たラクダ科の偶蹄類。アンデス山地のペルー南部,ボリビア西部からアルゼンチン北西部,チリ北部に分布。体長125~190cm,尾長15~25cm,肩高70~110cm,体重35~65kg。体は細く,首と四肢が長い。グアナコに比べ顔は短く耳介が長く,前に倒せば鼻孔に届く。後足の中足部に“たこ”はない。体毛は絹毛状で細く長く,橙色をおびた淡褐色。顔は赤褐色,耳介は赤黄色で,首の基部から前胸部白色の長毛が房状に生える。標高3500~5750mの高地草原あるいは平原群れで生活する。ふつう群れは5~10頭で,1頭の優勢な雄と数頭の雌と子からなるが,単独の雄や雄だけの群れもある。日中,植物を求めて遊動し,低い草を食べ,夜間は休む。交尾期は3~4月で,妊娠期間11ヵ月ほどの後,1産1子を生む。寿命は飼育下で24年9ヵ月が記録されている。

 愛らしい姿が人々に好まれ,アンデスの象徴的な動物として,コンドルと同様,多くの伝承や歌に登場する。毛が織物(この繊維はビキューナと呼ばれる)として最高級であるため16世紀ころより大量に捕殺され,1960年代には1万頭にまで減少したが,現在では各国の保護策の効果が現れ,約8万頭にまで増加し絶滅の危機を脱したとされる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビクーナ」の意味・わかりやすい解説

ビクーナ
びくーな
vicuña
vicugna
[学] Lama vicugne

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ラクダ科の動物。別名ビキューナ、ビクニア。南アメリカのペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリにかけて分布し、海抜3600~5400メートルのアンデス山中に生息する。体長1.25~1.9メートル、尾長15~25センチメートル、肩高0.7~1.1メートル、体重50キログラム前後で、南アメリカ産のラクダ類ではもっとも小形。被毛は羊毛状で長く、赤みを帯びた黄色、下腹部は白色である。前胸部の毛はとくに長く、40~60センチメートルに達する。5~15頭の小群をつくり、雄のリーダーに率いられ、多年生の草を主食としている。妊娠期間はほぼ10か月、1産1子を産む。寿命は15~20年である。

[中川志郎]

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