家庭医学館 の解説
びたみんのかんけいするたいしゃいじょう【ビタミンの関係する代謝異常】
ビタミンは、糖質(とうしつ)、たんぱく質、脂質(ししつ)という三大栄養素が、体内でうまく利用されるように、代謝のなかだちをしたり、からだのいろいろなはたらきが順調に進むように調節したりする微量な栄養素(有機化合物(ゆうきかごうぶつ))のことです。
ビタミン自体は、からだの血となり肉となる栄養素ではありませんが、ビタミンのはたらきがあってこそ、からだの発育がうながされ、健康が保たれるわけです。いわば、ビタミンとは、からだの潤滑油(じゅんかつゆ)のような役目をしているたいせつな物質なのです。
したがって、ビタミンの摂取が不足すると、さまざまな代謝の異常がおこります。たえず外部からビタミンを補給しなければなりませんが、ビタミンといっても種類が多く、食品に含まれる程度もいろいろなので、極端な偏食(へんしょく)をすることは好ましくありません。
●ビタミンの種類
ビタミンは、大別すると油に溶ける性質がある脂溶性(しようせい)のビタミンと、水に溶ける性質がある水溶性(すいようせい)のビタミンに分けることができます。
脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあり、水溶性ビタミンとしてはB群ビタミンとビタミンCが知られています。
B群に属するものとしては、B1、B2、B6、B12と、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、ビオチン、コリン、葉酸(ようさん)、イノシトールがあります。
これらのビタミン類には、それぞれちがったはたらきがあり、からだにおよぼす影響もそれぞれ異なっています。
●欠乏症、依存症、過剰症
それぞれのビタミンの摂取が少なく、体内に含まれる量が極端に少なくなると、代謝異常がおこり、その結果、からだに障害が現われます。このような状態を、ビタミン欠乏症といいます。
ビタミン欠乏症は、食糧事情が悪く、飢餓(きが)が続いたようなときにおこりやすいものです。
食糧の豊かな現在の日本では、ビタミン欠乏症は、ほとんどみられなくなりました。しかし、美容などを理由に、特定の食品しか食べないといった極端な偏食が原因でおこることがあります。
また、肝臓病など、内臓の病気のために、体内でのビタミンの利用のされ方が悪くなったりすると、必要な量を摂取していても、ビタミン欠乏症になることがあります。
このような場合、ビタミン剤による補給がどうしても必要になるので、ビタミン依存症と呼ばれています。
一方、脂溶性ビタミンの場合には、必要以上の量を摂取すると、体内に蓄積されて、からだに障害をおこすことがあります。これをビタミン過剰症といい、ビタミンA、Dのとりすぎでみられます。健康によいからといって、むやみに、これらのビタミン剤を服用することは注意すべきです。
なお、余分に摂取した水溶性ビタミンは尿とともに排泄(はいせつ)されてしまうので、過剰症になることはありません。